もしも自分の会社が早期退職をはじめたら?

以前お世話になっていた会社で早期退職者募集がありました。リーマンショックの時です。10年近く経っていますので細かな部分は定かではないのですが、僕の経験を元に、自分の会社でリストラが始まったら心掛けてほしいことを書いてみます。

不安と不満は噂の拡散を起こす

早期退職発令で社内に何が起こるかと言うと噂の拡散です。それはもうウイルスも顔負けのスピードで広がります。電話でチャットでメールでどんどん広がりますので三密も何も関係ありません。誰が悪いというわけでもない。不安な時は噂や憶測が飛び交いやすいものです。僕だって知らず知らずその拡散に参加していたように思います。

 

希望退職に申し出て「俺やめるわ〜」と堂々と言う人もいましたが、それより多かったのは「あの人退職申請したらしい」という噂でした。僕自身も「噂で聞いたんだけど辞めるんだって?」なんて言われたりしました。もう皆が不安なわけです。挨拶レベルで憶測や噂が囁かれていました。

 

そのうち、自分のいた営業所にとどまらず、別の地区の噂も耳にするようになりました。最初は他人事のように聞き流していましたが、そのうち自分も考えないといけないのかな、、と気持ちが揺らぎ出したのを覚えています。

 

結果的には想定人数以上の退職者が出たように思います。もしかしたら噂がクラスターのように繋がり広がり恐怖となってその結果につながったように思います。人の心はそれくらいまわりの情報に影響を受けやすいのです。

 

動きたい、でも動けない。一番苦しむのは「普通の人」

会社としては生産性が高い人、将来性のある若手を残したかったのだと思います。でも蓋を開ければ若手や優秀層がかなりいなくなりました。それはそうです。実力がある方やまだまだ挑戦できる若い方、かつ悩んでいた人にとっては背中を押された状態とも言えます。

 

そうでない方は不安との戦いで苦しみます。僕もその一人。当時は35歳で若いとも年寄りとも言えない年齢でしたが家族もいるから動けなかった、、、というのも理由の一つですが、本当に核心を突くと転職できるだけの市場価値がなかったから動けなかったのです。

 

今の僕が当時の自分と面談したら間違いなく退職・転職は止めるでしょう。何のスペシャリティもない。でも真面目にやってきた。普通の営業さん。中の中くらいの成績。THE・普通。普通の人は景気が良い時代ならチャンスがあっても不況時の転職はリスキー。そんな自分を頭の中でわかっていたので毎日もやもやしながら辞めていく若手を羨ましく見つめていました。

 

苦しくて辛い数ヶ月でしたが、望まぬ形で会社を去った人もいれば、自らの意思で新たな道を進んだ人もいました。業界を変えて営業を続けた人、大学の職員になった人、公務員になった人、SEになった人、介護の世界に行った人、離島に行った人、配送ドライバーになった人、様々な人生の選択があったと思います。

 

もしも自分の会社が早期退職をはじめたら?

今回も同じことが起きるでしょうか?昨年も大手企業が45歳以上の社員に向けた早期退職を開始するなどのリストラ系ニュースを何度も見ました。各社リーマン以降、リストラ策で幾度となく叩かれ、消耗してきたはずです。企業の体力があるうちに、世の中がまだ明るいうちにと先手を打っていたのだと思います。このあたりの動きは普通に考えたらさらに広がりそうです。

 

ここから半年、1年、2年何が起こるのかは僕も正確にはわかりません。が、実際今このタイミングでも会社の状況がコロナのせいで芳しくないという相談を受けています。既に退職勧奨という辛いカードを切るために前線に立たされている人事さんもいると聞きます。何もなく元のままの世界に戻ってほしいと僕も願っていますが、もしかしたら辛い状況は増えるかもしれません。そして、それはニュースの世界の話ではなく自分の会社かもしれません。

 

ただ、そんな時大事にして欲しいのは社内の噂に流されないことです。根も葉もない噂は心を乱しますし、プラスになることはありません。また、噂の発信者にならないことも大事です。噂はその渦の中にいると安心感が出るものです。噂にまみれているとみんな苦しいんだ。自分は悪くない。あの人より自分はマシ。全部会社がいけないんだと負の連帯感に囚われます。冷静になればわかるのですが何も良いことはありません。

 

発信源をしっかり判別し、真偽不確かなものは聞き流し、正しいと思える情報を選んで欲しいと思います。その上で踏みとどまるのもよしですし、転職するもよし、時期を待って今は自己整理に努めるのもよしです。辞めるにしても「自分で判断したんだ」そう思えない限り悔いが残るはずです。

 

いずれにせよ一つの会社に添い遂げるような時代ではないですし、この先を考えるには良い時期だと思います。そして、これからどうしていくべきかなどは一人ではなく誰かと話しながらのほうが整理できるものです。僕も最近は頭の整理や棚卸しをしたいというご依頼を多くいただいています。よかったらご相談くださいね。

 

カノープス株式会社 青山

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この記事を書いた人

青山 俊彦のアバター 青山 俊彦 カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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