弊社カノープスは、本日11月1日から11期目を迎えました。
改めて、この10年間を支えていただいた方々、企業経営者様、採用担当者様、ご相談者様、友人達、そして家族。心から感謝しています。
みなさんの支えが無ければ、ぼっち経営の10年を生き延びることはできませんでした。本当にありがとうございます。小さな人材会社ですが、これからも見守っていただけると嬉しいです。
今日は、これまでのことや最近業界に起きていること、これからのことを少しだけ書きます。
意思決定10年周期
唐突ですが、実は私、10年周期で重大な意思決定をしてたんですね。
31歳の時は7年半勤めたデザイン会社を辞めて人材会社に転職しました。その人材会社で求人広告の営業と人材紹介など経験しつつ、9年半勤務。
41歳で今の会社であるカノープスを立ち上げました。そして現在51歳。
10年周期で変化があるキャリア。今年はちょうどそのタイミング。たまたまなのでわざわざ意味を持たせなくて良いのですが、いま人材業界に起きていることを冷静に見つめると、色々と考えなくてはいけない状況で、意外とこの周期にハマってきている気がします。新しい何かを始める時期なのかもしれません。
業界にパラダイムシフトが起きてる?
10周年。めでたく祝いたい気持ちもありますが、そう言ってられるほど現状は甘くありません。
以下、私視点の人材業界の状況です。一意見としてご覧ください。
今期は黒字で乗り越えられたものの、GW前後から成果が極めて遠くなってきていることに気付きだしました。
何かがおかしい。自分の立っている場所が、大きく変化してきているような気がしていました。
自分が感じている感覚を言葉に表すと難しいのですが、いわゆる「パラダイムシフト」でしょうか。もしくは「地盤沈下」が近いかもしれません。
原因は一つではなく、幾つもの現象がぶつかり合って加速度的に進んだイメージです。
- クライアントの採用力や体制強化
- BPO(RPO)プレイヤーの急増
- エージェント急増(調べたら10年前から1.6倍くらい事業者が増えてるみたいですね)
- 新しい採用チャネルの急増(スカウトサービスやソーシャルリクルーティングサービス)
- 働き方の多様化とそれに対応した事業者の増加(フリーランスやプロ人材マッチング、副業プラットフォームなど)
- AIなどの新しいテクノロジーの採用マーケットへの浸透
どれも以前から存在していましたが、コロナ前からじわじわと力をつけてきた様々なものが一気に成長、絡み合って、自分が立っていた人材紹介を含めた採用市場に一気に乗ってきたイメージです(それで地盤沈下と書きました)。
なんなら私が注力しているスタートアップやSaaS業界でもマルチプロダクト化戦略の中にHRTech、採用系がエントリーするくらい採用領域は新規参入者が多い。
私の感覚、人材紹介で働く方々ならわかってもらえるでしょうか?人材紹介が長らく優先的に立っていた場所に一気にプレイヤーが増えて、ぶつかりあって落ちる感じ。
人材紹介の価値とは?
求人自体も人材会社が保有するものの差はどんどんなくなり、コモディティ化?しつつあるように思います。つまり、どのエージェントに行ってもほぼ同じものが出てくる状態。差別化がしづらくなってきている。
採用決定が一番の評価となる人材紹介にとっては非常に苦しい状態です。また、副業やプロ人材レンタルサービスなども増え、転職自体が特定領域の方々には重いものとなっている雰囲気もあります(実際、スカウト媒体でスカウトすると副業ならやりたいと言われたり、副業を探していると言われる回数が増えたなと思います)。
ちなみに起業する前、保険と賃貸不動産業を運営している企業で人材会社立ち上げをしたことがありますが、そこで聞いた話を思い出しました。
「保険も賃貸住宅も大枠ではサービスの差にほぼ差はなく、誰から買うか?そしてお客様の意思決定のタイミングをいかに掴めるか?が大事」
登録型の人材紹介はまさにそこに近づいている気がします。いや、もうその状況を通り越したかもしれません。
目線を変えてみると、仕事を探しているみなさんにとっては選択肢が山のように増え、外の別企業との接点が常にあるわけで、良いことだと思います。
この状況は労働人口減少の問題と絡み合いながら、AIを代表にしたテクノロジーの進化でさらに加速していくと思います。
今、私が毎日必死にやっている仕事もほとんど意味がなくなるかもしれません。スカウトメールとかAIマッチングで多分なくなるでしょう。その感覚は日に日に強くなっていっています(ちなみに、私も生成AI爆使いしてますが、使うほどに自分の存在の意味を考えてしまいます。便利なんですけどね)。
自分の提供する価値は何なのか?何のために存在しているのか?今期はずっと考え続けてきました。
世間は50代に厳しい
業界の先輩には「もう直ぐ色々淘汰されて整理されていくからもう少し踏ん張れ」と言われましたが、ふと「あれ?淘汰されるの自分では?」と思い出しました。
なんならちょうど10年走れたし、足を止めてもちょっと格好はつくかな?と会社を廃業することも考えていました。結構真剣に。
ただ、「じゃあ何を次にやるの?」との自分への問いに答えが出なかった。
せっかくなので人材会社にいって面談してもらおうと思いましたが、流石に人材会社10年経営している50代のおっさんが人材会社に登録してもCAさんが扱いづらくて困ってしまうだろうなとやめておきました(元相談者さんでいまサーチファームにいる方には一度壁打ちしてもらいました。Sさん、その際は困らせてしまいすみません)
転職サイトを見ても50代が選べそうなのは不動産営業か保険営業、、と思っていましたが、それさえも少なそうです。
※警備、運送、介護が三大受け入れ先の様子。
最近、士業で独立した同年代の友人もスキル補完ができるバイトをしようと応募したり、派遣に登録しているようですが、普通に落とされるそうです。世の中は50代に厳しい。
働き方の支援やその先を創造するはずの立場だった自分たちが、市場にNOと言われる。なんだか皮肉で悲しい。
ちなみに大型トラックで全国回るとか悪くないなとも思いましたが、流石にキャリアが飛びすぎでリスク高すぎです。あと、その道を今選んだら、多分死ぬほど後悔するなと思いました。
やはり自分の会社で新しい道を探すしかなさそうです。
で?何やるの?
新しい道。ようやく考えだした感じです。でも難しい。目の前の仕事を見過ぎで姿勢が悪くなっていたのかもしれません。最近ようやく遠くを見るための姿勢に変わってきました。
大前提として人材紹介はやめません。まずは初心にかえって、ひとつづ丁寧に仕事をしていこうと思います。カノープスでやりたかったことは、全員には叶わなくても、目の前にいる困った人を少しでも幸せにすることです。
団塊ジュニアの氷河期ど真ん中世代で、仕事にずっと苦しんできた自分だからこそできることはあると思って人材紹介業をしてきました。その思いには誠実でいようと思っています。
一方であらたな道も作っていく時期だと思っています。綺麗事だけでは事業は立ち行かなくなります。上記のような苛烈な競争の中、人材紹介ビジネス一本で生きていくのはかなり厳しいです。多分いまのままだと保って1-2年。
人材紹介を突き詰めるにしても、特にここ数年力を入れてきたSaaS業界は、採用のトレンドやメソッドが日に日に進化・出現しています。上述のパラダイムシフトのど真ん中のような場所です。同じ領域でやるにしても、もっと得意領域を絞るか?もしかしたら立ち位置を変える必要もあるかもしれません。
何をどうすべきか?一般的には新規事業開発というのでしょうか?ここ数ヶ月何名かの方に壁打ちをしてもらい形にしようとしていますが、本当に新しいことを始めるのは難しく、苦しい。
考える→やれそうと喜ぶ→穴が見つかる→やっぱダメかもの繰り返し。
早く動け!営業しながら考えろ!が多分答えなのですが、10年間、根が生えたコンフォートゾーンから足を上げるのはなかなか大変です。
ここのところそんなことばかり考えています。悩んでいるようで元気なのでご安心くださいませ。
改めましてこれからもよろしくお願い申し上げます。
カノープス株式会社 青山
https://cano-pus.com/