もしもジョブ型雇用社会になったら?

今日から出勤という方も多いと思いますが、緊急事態宣言解除後、多くの会社がコロナ後の新たな勤務体制を発表していました。週2-3日出勤で残りテレワーク、全面テレワーク継続、週休3日などなど各社対応は様々です。オフィス解約とか大胆な決断をする会社さんもありましたね。全体傾向として今後テレワーク向けの勤務体制の整備もさらに進むでしょうし、業務評価の方法も変わりそうです。

 

日立さんはテレワーク時代に向けてジョブ型雇用と評価体制を導入すると発表されていました。コロナ以前の昨年、「終身雇用はもう無理」とトヨタ自動車の豊田社長もおっしゃっていましたから今後は職務遂行能力が最重視される時代になりそうです。欧米化ですね。

 

ジョブ型雇用というのは仕事の内容や勤務地、給与などが職務記述書によって明確に定められており、それに合致しているかどうかいう点が重視されます。今と何が違うの?というと明確に定められているというところがポイントです。極端にいうとその仕事ができるかできないかどれくらい再現性があり、生産性があるかでジャッジされるということです。仕事と人を紐づけた雇用です。

 

反対にあるのがメンバーシップ雇用です。メンバーシップ雇用は仕事というより会社と人を紐付けて採用する感じです。勤務地も仕事内容も会社の指示に合わせて変わります。どんな仕事ができるかではなく、その会社にどれだけコミットメントできるかが重要です。要は旧来型の日本の終身雇用です。

 

メンバーシップ=終身雇用の意味がなくなると、正社員、契約社員、派遣、パート、バイトという呼び名のようなものにも意味が無くなるのかもしれません。新卒採用も形が変わるかもしれません。

 

ジョブ型雇用で統一された世界を想像してみると、仕事ができる人には仕事が沢山きてますますキャリアアップします。責任あり、レベルの高い高度な仕事も任されるようになります。そうなるように自己研鑽する文化が高まるように思います。ただ、仕事の内容がアンマッチになれば別の場所へと移動するようになるでしょうから、雇用の流動性が高まるかもしれません。

 

逆に出来ない人には仕事が来ずキャリアの格差が生まれます。会社に長く居るだけでリスペクトされる、何もしていないのに役職があって給料も高いという時代は終わりです。社内で仕事ができなくなったら配置転換というのが、メンバーシップ雇用ではありましたが、それがなくなったりするのだと思います。

 

そうならないために何をしていくべきでしょうか?自分に都合の良い会社を探し転職を無為にし続けるのはおすすめしません。景気がいい時ならまだしも、今のような世の中では幸せの青い鳥があちらから飛んでくることはないですし、青く見えた芝は相手の物で自分のものではありません。転職するにしてもしないにしても、常に意識してほしいのは自分にできることを増やすことです。与えられるのではなく取りにいくのです。会社がなんとかしてくれると思っている受け身、環境依存の考えに陥ってないか自分を振り返る必要があります。

 

それから、世の中のニーズを見る力も大事です。マーケットではどんな産業や職種が伸びていて、どんなスキルが求められているのか?例えば、ITでは数年前からカスタマーサクセスと言う職種が出てきて(もうだいぶ一般化していますが)、今は即戦力ニーズがものすごい高いです。ただ、全体で見るとその道の専門家はまだ数が足りず、営業など他の職種、あるいはお客様の課題に対して豊富な知見がある方を別業界からリプレイスしているケースもまだまだあります。こういうブームやニーズを常にキャッチするのです。

 

あとは、それをやってみたいかどうか自分の主義や信念にあっているかも大事です。流行っているだけでやりたくもないものをやっても意味がありませんから、自分は誰のためにどんな領域で働いていたいのかなど常に自問するのも大事です。

 

また、やってみたいからといってすぐ転職できるかというとそうでもありません。興味を持っている職種や業界と今の自分の差、距離を正しく知る必要もあります。自分の今の仕事の能力、対応している顧客層、今の仕事の商流などの財産を常に説明できるように整理しておくと良いです。それからやってみたい仕事や業界で募集されている求人票と自分にどれくらい接点があるか調べてみる。貢献できるものはどれか、できないことは何か?それをどう埋めていくべきかなどを常に探っていくのです。

 

日本の求人票は曖昧なものがまだ多いですし、入社したら書いていなかったこともやるというのは当たり前ですが、その中でも傾向を読み取っていく力は必要です。もしも本当にやってみたい仕事があるのであれば、自分の今の財産と求められているポジションの接触面積が高いところから挑戦していくと良いと思います。全部が無理でも、仕事上でもとめられるスキルはほぼ合致しているので業界だけ変えるとか、業界の知識や商慣習、ネットワークは強いので職種だけ変えてみるとか。バスケのピボットみたいに片足づつ動いていくことで知識、経験、能力が少しづつ増えていくはずです。

 

と言っている僕も、今の財産×何かを探しているところなんですけどね。なかなか自分ごとというのは難しいものですが、常に自分を探究している状態というのが健全と定義される社会になるのかもしれません。最近は「将来的に会社に頼らないでも立っていられる力が欲しい。転職はその上で必要あれば前向きに検討したい」というタイプの相談が増えました。おそらく皆さん今のままで良いはずがないと勘付いているのだと思います。

 

カノープス株式会社 青山

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この記事を書いた人

青山 俊彦のアバター 青山 俊彦 カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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