このお仕事をしていると、全てのご相談者を支援できるわけではないなと思います。できたらいいなと常々思ってますが、私もまだ未熟な身です。細かいミスもしますが、実は事態が起こる前に防げたケースはとても多い気がします。
労働災害が起こる確率を出すものに「ハインリッヒの法則」というものがあります。ひとつの重大な事故の裏には29件の軽めの事故があって、その裏には300件の事故じゃないけど、結構冷っとしたやばい感じのアレがあるというやつです。いわゆるヒヤリ・ハット。いろんな事故の90%以上は未然に防げる類のものなんだそうです。
職業紹介上のヒヤリ・ハット
この間、内定辞退がありました。これは僕の読み違えでした。現職が営業の方。よく考えると、最終面接前後からネットでの噂を調べだして不安を漏らしていたことがわかりやすい兆候でした。この時点で止めるべきですが、内定まで進めてしまいました。不安を言いつつも「仕事内容はやりたいことだから」と面接練習も非常に熱心。本人の申し出に応え、2回の選考に対して、テキストでストーリーをしっかり整理し、直接練習2回、電話練習4回というボリュームで対応をしました。ここまで熱心にこられるとこちらもまずは内定させることをゴールに気持ちが設定されて、細かい事に気が付きませんでした。さらに面接練習は何回やってもすごくうまいんです。かつ素朴な人柄の良さが伝わる。これは決まるだろうなとこちらも気持ちが上がります。
ただ、これも今振り返ると熱心さの裏の面接に対する恐怖心があったような気がします。
よくよく遡ってみると転職理由も、会社が旧態然として閉塞感がある、給料が上がらないといったこと以外に、お客様対応が苦手=そもそも営業適性がないんじゃないか?という根本問題がありました。お客様が怖いんだそうです。かなり特殊な業界でしたが、何重にも心に防御柵を作って臨まないといけないらしいです。私はこれを一過性の問題かと思っていました。強みを引き出すために自慢できる実績や頑張ってきた事例を聞いてみると、どう考えても「THE・営業」なわけです。
転職は相手への価値の提供ですし、かなり話し込んで、本人も自分のことをそう理解して活動に臨んでもらっていたのかと勘違いしていました。要は「その業界は避けたい」というコメントは「もう営業やりたくない」という解釈にすべきだったようです。
内定先はこれまでの仕事より企画性が高く、やりたいことに近かったけども営業には変わりありません。最終面接官も定量数値の確認や目標達成意欲の確認、同社に入った場合に陥る懸念など厳しめにお話しいただいたようです。これは期待値を調整していただいていたのだと思いますが、かえって自分の本質に気付いたようです。
結局、営業はもうやりたくない。できれば異職種へ転職したいという最初のキーワードは最後まで変わっていなかったわけです。
結論としては、いまの仕事職場の良さを見返すことができたということになり現職残留になりました。まぁこれはこれでいいのかなと思いましたし、「気づけてよかったね」と終わったわけですが、最初の兆候を見誤ると後々大変だなぁと感じた事例です。
その他、メールレスが遅くなる、電話に出なくなるなどわかりやすい兆候はありますが、最初にお会いした時に選んでいる言葉などの意味などをもっともっと深く考えなくてはいけませんね。まだまだ修行が足りません。
カノープス株式会社 青山