人材紹介会社に登録に行ってきました。
といっても6年か7年前です。
たぶん36歳の時。
転職するにもわりと勇気のいる年齢です。というよりもうだいぶ厳しいです。
当時僕の所属していた会社はリーマンショックの煽りを受け、1年ちょっと経過したその頃、おそらく会社としてはじめての希望退職者募集をしていました。後輩、先輩、誰もが悩み、不安を抱えていたと思います。僕も後輩に「どうなるのかな?でも大丈夫だよ」なんて言いながら心の中は不安でいっぱいでした。
最後と思って入った会社だったんだけどな‥
大学時代も在学中にバブル崩壊。氷河期なんて言葉が生まれた頃に就活をした人間です。ただ、その頃は若いから選択肢はあったし、ギリギリ就職もできました(その後、すぐやめるんだけど。でもやめて次もあったので、まだマシだった)。
入社した会社の先輩が、バブルの頃は賞与が現金封筒で、封筒を縦に置いても立つくらいの景気の良さだったと聞いたり、20代でレンジローバー買ったとか聞いても、経済が生活や仕事にどう影響するなんて想像もできず、マンガみたいな世界があったんだなぁとただただ感心したもんです。
経済の影響をリアルに感じたのはその早期退職の時が初めてでした。当時、東京多摩西部地区でネット求人広告を売っていた僕。
地元の営業所の皆さんのお力も借りながら、大変ながらもどこかのほほんと日々軽自動車を運転しながら仕事をしていましたが、リーマン後はあきらかに景気が下がってくのを体感しました。
担当エリアは工場、そしてそこに人を派遣する派遣会社などが多く、僕の広告売上も大半がそんな企業様。
それが軒並み撤退していくわけです。募集が止まるのではなく、お客様がいなくなるのです。あれよあれよと暇になり、営業車で暇をつぶしたり、昼寝したり、本読んだり。※時効かと思うので、お許しください。
もちろん営業はしていましたが、景気の悪い話しでお茶を濁される毎日。むしろお客様に、人を減らしたいと相談されたり、自分が転職したいとか言われてしまう始末。
そこに早期退職のお知らせ。
それは誰でも不安になるってもんです。で、誰も責められない。
悩んだ挙句にとった行動が、人材紹介会社への相談でした。
はっきりと超具体的に申し上げるとリクルートエージェント様の立川支店に行ってきました。
夜の19時くらい。
実は求人広告という同じ人材関連の仕事はしていましたが、紹介会社のことよく知りませんでした。ビジネスモデルは知ってたけど。
対応いただいたアドバイザーさんはたぶん同い年くらいの男性でした。とても穏やかな方だったと記憶しています。
最初は時期的に景気の話。なかなかお話しやすい方でしたので、やりたいことも含めて好き放題言ってました。当時は「今後はECが来るから、デザイン会社でディレクションしていた経験とネット求人営業経験を役立てて、サイトの企画をやりたい」とか。よく考えるとサイトの企画の意味も定義できていないのにアホですね。
担当さんは笑顔で聞きながら、うんうん頷いていますが、話は無さそうだなというか最初から無理と思っていたので、ぶっちゃけて聞きました。
「僕ってリクルートさん使って転職するだけの、市場価値あります?」
担当のアドバイザーさんも目をつぶって数秒下を向き、こう言いました。
「青山さんがそうおっしゃるなら正直ベースでいきますね。私、青山さんと年齢近いです。そして僕も最近の景気を見ていて、青山さんと同じように不安をもってます。しかも登録者さんで最近すごく多いのが、我々と同い年くらいの年代層。すごく多い。そして対応しきれてない。つまり紹介先が見当たらないのです。いまはちょっと時期が悪いです。もし紹介できるとしても、弊社リクルートの広告代理店くらいです。やりたいですか?やりたくないですよね?しかも年収は今よりうんと下がります。どう思いますか?まだ残れるならいまの会社でしっかりキャリアを積んだほうがいい。今がリーダー職であれば、まだ先も目指せますよね?本音で言うとこれが私のアドバイスです。リーマン前なら出せるものはありました。時期が悪い。今の会社で上を目指すべきです」
で、どうだったかというと登録しないで、帰りました。アドバイザーさんには最後、
「職種は違うけど、同じ人材業界です。お互い頑張りましょう。でも、本当に危険な状態になったら連絡してください。その時は全力でご支援します」
と言われました。その後まさか自分が人材紹介のエージェントになるとは思いませんでしたが、あの時、示唆してくれた選択のおかげで今はあるのだと思います。
良い人だったなぁ。まだいらっしゃるのかな。名前忘れちゃったけど。会えたら飲みながら話してみたい。
カノープス株式会社 青山