人材ビジネスの課題点は何だろうかとよく考えます。
人材紹介業だけで考えると一つ言えるのは、ビジネスの構造だと思います。多くの登録型人材紹介会社はビジネスとしてのピークはカスタマー(転職希望者)の入社時。転職をする当事者さんとしても入社時がモチベーションのピークになりがち。
ただ、忘れてはいけないのは転職はスタートでしかないということ。
大転職時代ですし、1人の人間が複数のビジネスを兼業することも現実化してきていますので、紹介した1社に対して何年いれば成功なのか?何が正しいのかは定義しづらくなっていますが、大事なのはその人のキャリアがいい感じに前に向いているかどうか。今後はより転職自体の意味や意義、位置付けを考えることやロングタームのサポートの重要性が高まっていくと思います。
かつて転職をお手伝いした方に年始のご挨拶でメッセージを送らせていただき、数名は食事でもしましょうかという流れになりました。
おひとり、地方から東京への転職をお手伝いして4年間お付き合いしている方がいます。遠方から不慣れな場所に来てもらったこともあり、いつも気になっています。なんとなく親戚の子みたいな感覚です。
若いなと思っていたその方も気づけば30代。最初の2年はやや前向きになれない言葉があったものの、昨年から何やら達観したようでスーパーポジティブになっていました。
僕が特に何かアドバイスを言ったわけでもなくあくまで自走しておられるのですが、年齢とともに成長を見届けられている感じは嬉しい関係だと思います。
その方が食事の後にLINEでくれたメッセージが
「こんな好きになる会社を紹介してくれてありがとうございました」
でした。嬉しすぎて返すコメントが思い浮かばずに照れ隠しのスタンプだけ返しました。
人材ビジネスをしていると本来何のためにやっているのかを見失いがちです。今回の話のように、毎度毎度美しい話になるわけでもありませんし、全員とこのような場を作れるわけではありません。また、このような行動に金銭的なインセンティブがあるわけではありません。でもロングタームのお付き合いは自分自身を見直すためにも、新たに奮い立たせるためにも必要不可欠だと考えています。
カノープス株式会社 青山