- 次の会社を最後にしたい。
- 次の会社では腰を据えて働きたい。
- 長く、安定して働きたい。
という相談をよく受けます。そうだよなぁと思います。僕も4回転職していますが、転職する度にそう思ってました。
「最後にしたい」
でも今はこんな体たらくです。独立して、毎月資金繰りにヒイヒイ言ってます。おかしいな、、こんなはずでは。安定は何処にあるのだろうか、、?
僕の20代のロールモデル「マスオさん」
僕は学生時代に憧れていた大人がいました。その名はフグ田マスオさんです。
そう。誰でも知っている国民的模範家族サザエさんの登場人物にして主人公サザエさんの夫です。
フグ田マスオ(アニメでは28歳)
サザエさんの夫であり、タラちゃんの父。婿養子によく間違われるが、磯野家とは二世帯同居をしているだけ。
優しく、磯野家にも信頼されている様子。務める海山商事には、1つ年下のアナゴ君(27歳!?)という気の合う同僚もいる。通勤時に満員電車に乗る辛さもあるみたいですが、帰りに一杯ひっかけるあたり、過度な残業もなさそう。土日出勤もなさそうです。そういえば海山商事って何扱ってるんでしょうね?カップラーメンからロケットまでと書いてありましたが、総合商社でしょうか?それとも海産物の商社でしょうか?定かではありません。
二世帯同居は窮屈そうですし、僕は真似できないですが、安定と安心を絵にするとこんな感じになるのかもしれません。
きっとマスオさんはタラちゃんを大学に出し、定年まで海山商事で勤め上げ、年金生活をしながら、生涯を幸せに終えるのでしょう。
そう。サザエさん一家は幸せでなければならないのです。
もしもマスオさんがリストラされたら?
目下、大企業東芝さんが大変そうであります。東芝といえば僕の就活時には安定の代名詞のような会社でした。入社できれば勝組。そして、1990年代まではサザエさんのスポンサーをほぼ独占していた時期もありました。
「サザエさんは東芝の提供でお送りします」
圧倒的なマーケティング力。安定の東芝、安定のサザエさん。東芝に入ればマスオさんのような生涯を約束されたようなものです。そう思っていました。
でも、経営って何が起こるかわからないものです。昨日も東芝さんが記者会見していましたが、なんとも言えない気分で見ていました。
マスオさん大丈夫かなと。
いや、マスオさんの生活に東芝は関係ないですが、なんとなく
東芝危機→スポンサー撤退→サザエさん放映危機→海山商事危機→フグ田君肩叩き
という思考連鎖をしてしまいました。
スポンサー企業の危機と国民的模範家族の生活をリンクさせてしまうのは僕だけでしょうか?
フグ田君ちょっといいかな?
いつかこんな日が来るかもしれません。12年後のとある日、マスオ40歳。サザエ36歳。タラちゃん15歳。波平は定年退職し悠々自適。タラオもいよいよ高校生に。大学受験も考えなければいけない時期です。
サザエ:あなた行ってらっしゃい^_^
マスオ:ぁ、、ああ、、
サザエ:どうしたの?最近元気ないじゃない?
マスオ:ん?えぇ!ソンナコトナイヨ。大丈夫だよ。行ってくるよ。
マスオはここ数日そわそわと落ち着かない気持ちでいた。それは同僚のアナゴとの会話が原因である。 いつもはお気楽な性格のアナゴから誘われた飲みの席で突然こう言われたのである。
アナゴ:フグ田君、、話したいことがあってさ。僕、人事に呼ばれてね。。九州の関連会社に転籍しないかって言われたんだ。本社の組織変更のためって、、
マスオ:ええー!?本当かい?
アナゴ:もう断れない感じでさ、、ちょっと周りに聞いたら数名声かかっているみたいなんだ。海山がここ数年、売上下がってるのは知ってたけどいよいよなのかな、、どうしよう、どうしよう俺、、人事も辛そうに言うから何も言い返せなくて、、こんなことフグ田君にしか言えなくて。
マスオ:ええー!?本当かい?
アナゴ:僕、カミさんに言えてないんだ。九州なんてさ、、家買ったばかりなんだよ。どうしよう。やっぱ転職かな?もうすぐ40歳だし、俺通用するのかな?
マスオ:ええー!?本当かい?
アナゴ:でもさ、転職って言ったら、もうこの業界じゃね。んでね、実は昨晩仕事帰りに人材紹介会社に行ったんだ。エージェントに聞いたらさ、安定とか生活の充実も大事だけど、僕の能力だと同じ業界で頑張って給与キープがギリギリ。もっと辛い環境になるかもしれない。そのリスクも含めて動いた方がいいって言われたんだ。最初IT業界に行きたいって言ったら、40歳では限りなく難しいし、仮にチャンスがあってもゼロスタートになるからもし実現しても給料下がる可能性もあるとも。そのエージェントがさ、「辞めないで!辛いけど、歯を食いしばって待ちましょう」って言うんだ。相談に行ったつもりなのに、諭されちゃってさ、、ああ、僕はどうしたらいいんだ、、。
マスオ:ええー!?本当かい?
アナゴ:ああ、、九州なんて言ったらカミさんになんて言われるのか、、畜生!こんなはずじゃなかったのに(酔いも手伝ったのか泣き崩れるアナゴ)!
マスオ: …アナゴくん…
アナゴ:(テーブルに突っ伏しながら)フグ田君も、危ないかもしれない。。気をつけて、、畜生畜生、、
そんな夜から数日、勘の良いサザエに気付かれたかもしれないと気を引き締めたマスオの肩を部長が叩く。
部長:フグ田君ちょっといいかな?
全身に戦慄が走る。10数年席を並べてきたアナゴが哀れむような目線を一瞬。そして、気まずそうにデスクに視線を戻す。
部長:予定見たけど、お昼後は空いていたよね?会議室Aで少し近況について面談したいんだ。いいかな?
マスオ:は、、は、、はぃ、、
ミ~ ̄ ̄ ̄\
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(ニフフ
かくして、マスオの転職活動が始まったのである。
いつか来るかもしれないその日に備えて
こんなマスオさんは見たくないですが、海山商事と東芝の社員さんたちをシンクロさせてしまうと、あながち無くもない話です。
東芝だけではないです。僕の若かりし日に輝いていたシャープも、ソニーも、NECもリストラをしています。技術力をイノベーションに、業態を変換してきた富士フイルムのような大手もいますが、その過程には苦しみ、痛みがあったはずです。会社というものが、未来永劫「今の状態」を続けるというのは極めて難しいものなのだと思います。
転職しても、自分が変わり続けなければいけない時代です。会社は守り続けてくれない。会社だけのせいにはできない。仕事を選ぶ前に仕事を自分に引き寄せていくように毎日行動を改めていかなければいけないなと思います。
じゃあお前ができているのかって?
できていません。まだまだやることがあります。起業したら自由だって最初は思っていました。そんなことはなかったです。全部自分の責任ですし、未だに会社勤めに戻りたいと思うこともあります。どこにいってもどんな判断をしても、結局は自分と向き合わなければいけないのだと思います。自戒を込めて。
カノープス株式会社 青山