GWみなさんはいかがお過ごしでしょうか?僕も今回は10連休をいただくことにしましたが、ちょいちょい仕事はしてしまいます。
最近どこまでが仕事でどこまでがプライベートなのかよくわからないです…とリア充ぽくカッコつけても仕方ないので本音を言うと、時間がありすぎて手持ち無沙汰なだけです。家で暇を持て余している方、案外たくさんいるのではないでしょうか?
さて、4月は4冊の本を読みました。今回は真面目に人事本ばかり。技術や論理も入ってきてやや読むのに時間がかかりました。それでは紹介していきます。
トップ企業の人材育成力 ―ヒトは「育てる」のか「育つ」のか
4月4日に発売したばかりの出来立てホヤホヤの本です。友人の西村晃さんが共著で採用についてのパートを書かれています(よく見たら著者に西村さんが三人もおられました。偶然だそうです)。
もう少しライトな内容かと思っていましたが、かなりガッツリした重厚な内容でまとめられており、4章と5章の組織開発論やHRテクノロジーのところは人事の方でも相当な猛者向きの内容ではないかなと思いました。
全体的に現在進行形のリソースを元に書かれています。各パートごとに完結していますので6冊分の本を買ったと思うとお得ですね。
僕のおすすめであり一番スッキリ頭に入ったのはやはり第3章の「トップ企業の採用」の部分。
CX(キャンディデートエクスペリエンス)という言葉を初めて見ましたが、人材紹介という業務をしている僕からしても納得の内容でした。また、人事の方の中には採用というフロー業務しかできていないことに不安を感じている人も多いように思いますが、ここまでしっかり考えてプロリクルーター的な立ち位置で一点突破できる方がいるという事実には勇気づけられるのではないでしょうか。
働き方が変わる、会社が変わる、人事ポリシー
昨年フォーノーツ社主催の「人事の学校」に通っていました。その講師であり人事コンサルタントの西尾太さんの著書。講義の際の西尾節を脳内再生しながら楽しく読むことができました。人事ポリシーはその会社の「人」つまり従業員に対する考え方。採用してからどう育成して評価していくのか?会社におけるMVVなどともリンクする人事の根幹のようなもの、つまるところ何かが起きた時に戻れる正義を定義するようなものだと思います。
なんとなく採用してなんとなく配置してなんとなく評価してなんとなく辞められているという企業さんがあれば(案外多いのかも)読んでみていい内容だと思います。
採用ひとつにとっても長期で育成してコア人材になってもらうのか?3年で代謝するのをありとするのか?どちらも不正解ではなく果たして自社はどっちなのか?などいわゆる決めを打つことの大事さなどが書かれています。確かに採用の入り口では長期に渡って働いてもらいたいと言いつつ、実態は短期サイクルで従業員が代謝している企業などもあったりしますよね。
また、最近のニュースですと大手大企業が大量のリストラや再配置をしていますね(最近というか一定サイクルでやっていますけど)。政府も雇用の流動化を進めています。このようなニュースを見るたびに年功制、勤続主義などは旧体質の人事の仕組みが変わる時期なんだなと思います。こういう時こそ人事ポリシーからの見直しが必要なのかもしれません。
人事の超プロが明かす評価基準
こちらもフォーノーツ西尾さんの著書。順番としてはこちらのほうが先に書かれたものだと思いますが、人事ポリシーの後に読むとよりスッキリするように思います。知り合いの会社が評価制度の導入を数年スタックしているようでしたので何かアドバイスできないかと思って読み返しました。
10人くらいの小さい会社でしたら社長が独断で評価することも可能だと思うのですが、従業員が30-50-100人と大きくなるにつれそれは不可能になります。社長が一人ひとりの日々の業績や態度を見ることができなくなるからです。
採用したらどう評価していくのか?何をすれば上に上がれるのか?どうすればお給料が上がるのか?これらの人事評価制度やそれに呼応する等級制度や給料制度は会社と従業員の関係を円滑するためのルールのようなもの。この本はそれらを示す基本のキが詰まった内容です。人事以外の従業員側つまり働く人全員が読んでいい本かなと思います。
ただ、僕は24年働いていますが、この「評価」について存在はしていても従業員側が認知しているケースは結構少ないのではないかと思います。いまはたくさんの評価フレームがありますが、おそらく運用と認知という部分が最も大事だと思いました。
プロの人事力
またまたこちらもフォーノーツ西尾さんの著書。3月に発行されたばかりの本です。前述の2冊が比較的読ませる内容でしたが、こちらは参考書のような内容でテイストが変わります。やや値段がお高いですが、近くにおいてちょいちょい読みたい本という感じです。
こちらは人事ポリシーや評価といったファンクションや項目を一つひとつを掘り下げるのではなく人事担当者のキャリアについて書かれているように思います。人事としてメンバーからマネージャー、そして部長になるにあたって持っていてほしいコンピテンシーや視座を著者の西尾さんの長年の経験を元に記載されています。
人事部長くらいになると会社と人のグレーなところまで愛せるような達観とした能力が必要なんだなと感じました。最近CHROとか新しい人事のポジションが出てきたりしていますが、こちらの本にはその辺は触れられていません。おそらく意図的に書いていないのだと思いますが、ここで書かれている人事部長がそれに近いのではないかなと思います。
以上、4冊でした。参考になれば。
カノープス株式会社 青山