企業にはなぜミッション・ビジョン・バリューが必要なのか? 背景と目的。

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企業が掲げる「ミッション」「ビジョン」「バリュー」は、単なるスローガンではなく、組織の存在意義や未来への方向性を示す重要な指針です。これらは、企業が成長する上でなぜ必要とされるのでしょうか?また、どのように策定され、進化していくのでしょうか?
本記事では、その背景や目的を解説するとともに、国内有名企業の事例や転職活動での活用方法についても触れていきます。

ミッション・ビジョン・バリューとは?その定義と違い

企業におけるミッション・ビジョン・バリューは、それぞれ異なる役割を持ちながら、組織の方向性や価値観を示す基本要素です。

ミッション(Mission):
企業の存在意義や目的。「何のために存在しているのか?」という問いに答えます。

ビジョン(Vision):
企業が目指す未来像。「どのような世界を実現したいのか?」を描きます。

バリュー(Value):
企業が大切にする価値観や行動基準。「どのように行動するのか?」を定めます。

たとえば、ある企業が「すべての人に快適な移動を提供する」というミッションを掲げ、「カーボンニュートラルな未来社会」をビジョンとし、バリューとして「環境保護」「技術革新」「協力」を挙げるとします。これら3つが一体となることで、企業は方向性を失わずに進化することができます。また、ミッション・ビジョン・バリューは必ず3つ揃う必要はなく、企業によってはミッションとバリュー、ビジョンとバリューのみを掲げているケースもあります。

ミッション・ビジョン・バリューが企業にもたらす効果

ミッション・ビジョン・バリューを明確に定め、日々の活動に反映させることは、以下のような効果を企業にもたらします。

方向性を示し、組織を一つにまとめる
ミッションやビジョンは、企業の目指すべき目標を全員で共有するための羅針盤となります。特に社員が日々の意思決定や行動をする際の基準として機能します。

企業文化の形成と維持
バリューは社員の行動規範となり、統一された企業文化を築くための基盤となります。この文化が社員の帰属意識を高め、結果として生産性向上や離職率低下に寄与します。

ステークホルダーとの信頼関係を構築
明確なミッション・ビジョン・バリューを掲げ、それに基づく行動を実践することで、顧客や社会、投資家からの信頼を得やすくなります。

人材採用・定着率の向上
企業の価値観に共感する人材を引き寄せやすくなります。また、社員のエンゲージメントを高め、長期的な定着を促します。

SmartHRのミッション・バリューの事例

国内の有名企業であるSmartHRは、その成長に応じてミッションやバリューを進化させてきた好例です。現在、同社は以下のミッションとバリューを掲げています。

ミッション:
「well-working 労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる。」

バリュー:
「まずやってみる人がカッコイイ」
「人が欲しいものを超えよう」
「ためらう時こそ口にしよう」

SmartHRは創業当初、「社会の非合理をハックする」を掲げていましたが、現在では「well-working 労働にまつわる社会課題をなくす」という、より広い視野のミッションを掲げています。これは、事業領域が拡大し、社会的な影響力が増したことに伴う進化です。
このように、ミッションやビジョン、バリューは企業ステージや成長度合いによって変わり得るものです。その変化は、企業が新たな課題に向き合い、目標を再設定するプロセスの一環であり、組織の活力を生む原動力となります。

ミッション・ビジョン・バリューの作り方とポイント

企業がミッション・ビジョン・バリューを策定する際には、以下のステップが有効とされています。

ステークホルダーの意見を反映する
社員や顧客、パートナーの声を取り入れることで、より共感を得られる内容を作り上げます。

企業の強みと独自性を分析する
競合他社との差別化を意識し、自社ならではのミッション・ビジョン・バリューを設計します。

簡潔でわかりやすい表現を心がける
抽象的すぎる表現は避け、社員が日々の行動に活かしやすい明確な内容にします。

実際の行動と一致させる
理念と行動が一致しなければ、社員や顧客からの信頼を損ねる原因となります。現場の動きや評価基準にしっかりと組み込むことが重要です。

転職活動時にミッション・ビジョン・バリューを確認する重要性

転職活動では、応募先企業のミッション・ビジョン・バリューを確認することが、キャリア選択の成功につながります。

企業の方向性を理解できる
応募先企業が何を目指しているのかを知ることで、自分の価値観やキャリア目標と一致するかを判断できます。

長期的なキャリア形成に役立つ
自分の価値観と一致する企業で働くことは、モチベーションを保ちやすく、長期的な成長につながります。

面接時のアピールに活用できる
企業のミッションやビジョンに共感する理由を具体的に伝えることで、志望度の高さを効果的にアピールできます。また、自分がその企業で何を実現したいかを語る説得力も増します。

まとめ

ミッション・ビジョン・バリューは、企業の存在意義や方向性を示す重要な指針であり、組織文化の基盤を形成するものです。この記事では、その定義や企業にもたらす効果を解説し、国内のSmartHRの事例を通じて、成長に伴う進化の可能性を示しました。また、転職活動においてこれらを確認することで、より良いキャリア選択ができることもご紹介しました。企業選びの際には、ぜひミッション・ビジョン・バリューを重視してみてください。

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青山 俊彦

青山 俊彦カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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