経営企画部門の募集で見かける「FP&A」という言葉ですが、具体的に何を指し、どのような役割を果たす業務なのか?本記事では、FP&Aの概要、具体的な業務内容とその重要性。求められるスキル、キャリアの可能性について解説します。
FP&Aとは?経営企画における役割
FP&Aは「Financial Planning and Analysis」の略で、日本語では「財務計画・分析」と訳されます。企業の経営計画を財務の観点からサポートし、予算策定、業績予測、財務分析を通じて経営陣の意思決定を支える重要なポジションです。
特に成長企業やSaaS企業のように変化の激しい業界では、事業戦略の舵取りにおいてFP&Aの役割は欠かせません。単なる数値の管理だけではなく、分析を通じた戦略的な提案が期待される職種です。
FP&Aの具体的な業務内容
FP&Aの業務は多岐にわたりますが、主に以下のような内容が含まれます。
・予算策定と管理
各部署の活動計画を反映した年間予算を作成し、進捗を管理します。
・業績予測
月次、四半期ごとに業績を予測し、計画と実績のギャップを分析します。
・KPI管理とレポート作成
売上や利益率、コスト効率といったKPIをモニタリングし、経営陣にレポートします。
・市場分析
業界や市場動向を分析し、競合との比較データを提供します。
・意思決定のサポート
収益性や成長性を高めるための改善策を提案します。
これらの業務を通じて、FP&Aは経営の「司令塔」として重要な役割を担います。
FP&Aに求められるスキルと知識
FP&Aの業務を遂行するためには、次のようなスキルや知識が求められます。
・財務知識
当然ながら、会計や財務の基礎知識は必須です。特にPL(損益計算書)、BS(貸借対照表)、CF(キャッシュフロー)の理解が重要です。
・分析力
大量のデータを正確に処理し、洞察を引き出す能力が必要です。ExcelやBIツールなどの活用力も含まれます。
・コミュニケーション力
他部署との連携や経営陣への報告のために、明確な伝達能力が求められます。
・戦略的思考
データを単に整理するだけでなく、将来を見据えた提案力が重要です。
・ソフトウェアスキル
ERPシステムや財務管理ツール(例:NetSuite、Adaptive Insights)に精通していると強みになります。
SaaS業界におけるFP&Aの重要性
SaaS業界は特に優秀なFP&Aの活躍が期待される分野です。その理由は以下の通りです。
・収益モデルの複雑さ
サブスクリプション型のビジネスモデルでは、ARR(年間経常収益)やLTV(顧客生涯価値)といった独特のKPIが重要となります。FP&Aはこれらを分析し、持続的成長のための戦略をサポートします。
・高速な意思決定が求められる環境
SaaS市場は競争が激しく、迅速な経営判断が求められます。FP&Aの業績予測や分析は、そのための信頼性の高いデータ基盤を提供します。
・グローバル展開への対応
多国籍で事業を展開する企業では、さらに為替リスクや市場間の収益性分析が重要になります。FP&Aはこうした課題に取り組む役割も担います。
FP&Aとしてのキャリアの可能性と挑戦
FP&Aとしてのキャリアは多岐にわたります。以下はその一例です。
・スペシャリストから経営幹部へ
FP&Aの経験を積むことで、CFOや経営企画責任者といった経営幹部を目指すことも可能です。
・転職市場での需要
財務や分析スキルを活かし、他業界への転職も視野に入れられます。特にSaaS業界ではFP&A経験者の需要が高いです。
・課題と向き合う力
データが揃わない中での予測作成や、経営陣への提案内容を納得させる難しさなど、挑戦も多いですが、それだけやりがいのある職種です。
まとめ
FP&Aは、企業の成長を財務面から支える戦略的な役割を担います。SaaS業界のような変化の激しい分野では特に、その重要性が高まっています。本記事では、FP&Aの基本的な役割から求められるスキル、キャリアの可能性まで解説しました。この職種を目指すことで、戦略的な意思決定に貢献するプロフェッショナルとして成長できるでしょう。