信頼残高の積み方。部下との関係性を深めるために

trust-balance

部下との関係を良好に保ち、より良いチームワークを築くためには「信頼残高」を意識することが重要です。信頼残高とは、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』で紹介された概念で、信頼を貯金のように積み重ねることで、人間関係を強固にするという考え方です。本記事では、信頼残高を増やし、部下との関係性を深めるための具体的な方法を解説します。

信頼残高とは?ビジネスにおける重要性

信頼残高とは、相手との関係において「信用の蓄積」を示す概念です。これは銀行口座の預金のようなもので、良い行動をすれば信頼が積み上がり、信頼を損なう行動を取ると引き出されてしまいます。

ビジネスにおいては、上司と部下の関係だけでなく、同僚や顧客との関係にも影響します。特に上司として部下の信頼を得ることは、組織のパフォーマンス向上にも直結します。信頼残高が高い上司のもとでは、部下は安心して意見を言えたり、主体的に動けるようになり、結果的に生産性が向上します。

逆に、信頼残高が低いと、部下は上司の指示に対して懐疑的になり、最低限の仕事しかしなくなる可能性が高まります。信頼は一朝一夕では築けないため、日々の積み重ねが大切です。

信頼残高を増やす具体的な方法

信頼残高を増やすためには、日々の行動が鍵となります。以下のポイントを意識して行動することで、部下との信頼関係を強化できます。

・約束を守る
上司が小さな約束でも守ることで、部下は「この人は信頼できる」と感じます。逆に、何気なくした約束を守らないと、信頼残高は一気に減少します。例えば、「今週中にフィードバックを渡す」と言ったなら、必ず実行しましょう。

・感謝と承認を忘れない
部下の努力や成果に対して、具体的な言葉で感謝や承認を伝えることは非常に重要です。「ありがとう」「助かったよ」といった言葉は、シンプルながら信頼残高を積み上げる大きな要因となります。

・ミスを責めるのではなく、学びに変える
部下がミスをしたとき、頭ごなしに叱るのではなく、「何が問題だったのか?次にどうすればよいか?」を一緒に考える姿勢が大切です。ミスを許容し、成長の機会とすることで、部下は安心して仕事に取り組めます。

部下の話を本当に「聴く」ことが信頼を築く

信頼を築くためには、単に部下の話を聞くだけではなく、「聴く」姿勢を持つことが大切です。

・アクティブリスニングを意識する
アクティブリスニングとは、相手の話をしっかり理解し、共感を示しながら聞く技術です。例えば、部下が話しているときにスマホを見たり、パソコンを操作しながら聞くのではなく、相手の目を見て「うんうん」と相槌を打ちながら話を聞くことで、相手は「自分の話をちゃんと聞いてくれている」と感じます。

・フィードバックを適切に行う
部下の話を聞いた後に、「なるほど、そう思ったんだね」と相手の気持ちを一度受け止めることが重要です。そのうえで、「じゃあ、どうしたい?」と問いかけることで、部下の主体性を尊重しながら会話を進めることができます。

一貫性のある行動が信頼を強化する

信頼を築くためには、一貫した行動を取ることが重要です。上司が言っていることとやっていることが違えば、部下は不信感を抱きます。

・公正な態度を心がける
特定の部下だけをひいきする、感情によって態度を変える、といった行動は信頼を損ねます。部下全員に対して公平で一貫した態度をとることで、「この人の言うことは信用できる」と思われるようになります。

・リーダー自身が率先して行動する
部下に厳しい要求をする一方で、自分は楽をしているように見えると、信頼は一気に崩れます。例えば、「残業を減らそう」と言いながら自分が毎日遅くまで残業していたら、部下はその言葉を信じません。言葉だけでなく、行動で示すことが大切です。

まとめ

部下との信頼関係を深めるためには、「信頼残高」を意識して行動することが重要です。信頼残高を積み上げるためには、約束を守る、感謝を伝える、部下の話をしっかり聴く、一貫性のある行動をとることが欠かせません。信頼は一朝一夕では築けませんが、日々の小さな積み重ねが大きな信頼につながります。結果として、より良いチームワークが生まれ、組織全体の成果向上にもつながるでしょう。

合わせて読みたい
1on1の上手なやり方。押し付けにならない、部下のやる気を引き出す方法

青山 俊彦

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

関連記事