DevRel(Developer Relations 通称デブレル)は、開発者との良好な関係性を築くことで、自社製品やサービスの認知と利用を促進する活動です。イベント開催、コミュニティ運営、技術ブログの執筆などを通じて、開発者の信頼を得ながら製品改善につなげます。
本記事では、DevRelの基本的な概要からその目的、採用活動との関係性、成功のポイント、さらに具体的な実例を交えながら解説します。
DevRelとは一体何か?
DevRel(デブレル)は、「Developer Relations」の略で、開発者との信頼関係を築き、自社の製品やサービスを長期的に利用してもらうためのマーケティング活動を指します。以下のような特徴があります。
目的
自社製品やサービスと外部の開発者との良好な関係性を構築することが主な目的です。開発者との継続的なコミュニケーションを通じて、製品改善や認知度向上を図ります。
活動内容
開発者向けイベント(勉強会やハッカソンなど)の開催、技術ブログの執筆、コミュニティの運営など、技術共有や双方向のコミュニケーションを重視します。
アプローチの特徴
単なる広告宣伝ではなく、開発者のフィードバックを積極的に取り入れて製品の品質向上に活かすことが特徴です。
担当者のバックグラウンド
エンジニアリングの知識を持つ担当者が多く、開発者視点に立った活動を行うことが求められます。
このように、DevRelは「開発者中心のアプローチ」を軸に、製品改善と開発者との関係性構築を進めていくものです。
DevRelと採用活動の関係性
DevRelは採用活動においても間接的な効果をもたらしますが、これはあくまで結果として生じるものであり、DevRelの直接の目的ではありません。
採用活動との関係
・DevRelを通じて、企業の技術的な魅力を発信することで、優秀なエンジニアが関心を持つきっかけになることがあります。
・開発者向けのイベントやコミュニティ活動が「この企業で働きたい」という動機を生む場合もあります。
注意すべき点
DevRelを採用活動の一環と捉えて、採用数を主要なKPIにすると、本来の目的である「開発者との信頼関係構築」が歪められる可能性があります。DevRelの本質は、技術者コミュニティ全体との良好な関係性を築くことであり、長期的な成果を目指す取り組みです。
DevRelを実践する企業のタイプと具体例イント
DevRelを積極的に行う企業には、主に次のようなタイプの企業があります。以下は国内外の代表的な事例を挙げたものです。
1. クラウドサービスプロバイダー
例: AWS、Google Cloud Platform、Microsoft Azure
これらの企業は、開発者がクラウド環境でアプリケーションを構築・運用する際のサポートを重視しています。
2. 開発ツールやプラットフォーム提供企業
例: GitHub、GitLab、Docker
開発者の生産性向上や作業効率化を目的としたツールを提供し、それを活用するための知識共有に注力しています。
3. 国内での取り組み例
国内でも、さくらインターネットやサイボウズ、LINEヤフーなど、技術ブログや勉強会を通じて開発者とのコミュニケーションを図り、DevRelの取り組みを進めている企業が多く存在します。
DevRel成功のポイント
DevRelを成功に導くためには、以下のポイントを押さえる必要があります。
開発者に寄り添う姿勢
開発者の課題を理解し、解決するための情報やツールを提供することが重要です。
フィードバックを活用する
開発者から寄せられた意見を製品改善に反映し、その成果を再び開発者と共有することで、信頼関係を強化します。
継続的な活動
イベントやコミュニティ運営を継続的に行い、開発者との接点を増やすことで、関係を深めていきます。
採用活動と分離したKPI設計
採用ではなく、開発者エンゲージメントやフィードバックの活用率など、DevRelの本質的な指標を設定する必要があります。
まとめ
本記事では、DevRelの定義や目的、採用活動との関係性、具体例と成功のポイントについて解説しました。DevRelは開発者との長期的な関係構築を通じて、企業の技術的な信頼性を向上させる活動です。採用活動に効果を発揮する場合もありますが、あくまでその本質は「開発者コミュニティとの信頼構築」にあります。
DevRelを通じて、自社製品やサービスの価値を高め、開発者との協働によって市場での競争力を向上させることができます。この取り組みを戦略的に進めることが、今後の企業成長の鍵となるでしょう。
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