穴の空いたバケツに水を入れるとどうなるか?
水はただ流れ落ち、溜まることは決してない。誰でも知っていること。
採用もそうで、人(水)を採用してもバケツ(組織)に穴があれば決して潤うことはない。
知識ノウハウ、経験、継承、、全て流れ落ちて水の泡。
対策は穴を埋めればいいだけなんだけど、それが物凄く難しく、会社組織にとって永遠のテーマでもあると思う。
弊社は退職率XX%です。退職率はどれくらいですか?
低ければ低いほうがいいけど絶対に潜在転職者層はいるし、いま輝いている彼や彼女が辞める日は来る。
人気企業だって辞めていく人は少なからずいる。全ての人にとって幸福な組織を作ることは難しいってことだと思う。GoogleやAppleだって人は辞める。
企業が行うビジネスはどんなに目新しくても、かっこよくても、社会性があったとしても、時代とともに競合が生まれ、マーケットにおいて標準化、そして陳腐化し、衰退していく。
だから企業は時代に合わせて新しいビジネスを考えたり、既存事業を売却したり、買収したり、事業方針を変更したりする。生き残る為だ。
なかには活路を見出せず、古いビジネスモデルに古いマネジメントを続けざるをえない会社だってある。
いずれも変化や無理が生じる。そうしたら何かしらの衝突は起きる。
社員だって生きているのだから気持ちは変わる。本人も成長して目指すものが変わるし、不安も募れば離れていく。人生のフェーズで選択するものも変わる。
バンドマンが解散する理由の音楽性の違いみたいなものだろう。前向きなものもあれば後ろ向きなものもある。
バンドはメンバーが抜けたら解散したり新メンバーを加入させたりする。
中にはもめてずるずると泥試合を続けることもある。
僕は昔弟から勧められて知ったスマッシング・パンプキンズというバンドが好きだったのだけど、もうこのバンドは泥試合だ。もういいから握手してハグして帳消しでいいじゃんめんどくせぇなと見てて思うが、色々難しいんだろう。
話が逸れたけど、人口が減少していくこれからの時代において、水を入れ続けること、つまり「人が辞めたから代わりを採用する」は一つの手段でしかない。
僕は人材紹介という採用のごく一部の仕事を生業としていて、ビジネス的には人を採用してもらえるように頭を捻りがちなのどけど、採用がうまくいっていないクライアントの課題は、実のところ「採用ができない」でなく「組織」だったりする。マーケティングでいうドリルと穴の話みたいなものだ。
企業側もそれは気づいている。でも、なかなか手をつけられない。やってもうまくいかない。
しんどいからだ。組織の問題解決は採用の数万倍きつい。
生まれたてのベンチャーだったら、思いを一つにするのは容易いかもしれないが、歴史の長い企業、社員の数が多いほど難しい。
ソーシャルメディアでは「今時そんな組織?ルール?慣習?」的な言及もよく見かけるし、組織改革が成功しそうなツールや美談が沢山流れてくる。そしてそれらはどれも眩しく正しい。
ただ、ポジティブな美談の裏には生々しくおびただしい数の屍や失敗があるはずだ。綺麗な上澄みだけなわけない。ツールはただのツールである。
イケてるどこかの会社の手法は自社にそのまま移植なんてできっこない。大事なのはその前段にある組織課題の究明や課題設定という根本部分だ。
これは自社が向き合わなければいけない。
はじめるならまずは一番痛いところから検査しないといけない。症状に合わせて治していくしかない。
ただ、どんなに自社に絶望したとしても勇気は出して欲しいと思う。組織の問題はほぼ全ての企業が抱えていて、おそらく間違いないのは経営側だけがやることでもなく、人事が孤軍奮闘するものでもなく、経営社員全員がスクラム組んでやらないといけないということ。そして途方もなく長くゴールのない取り組みだということ。
諦めたらそこで試合終了ってやつだと思います。
オチはないです。
カノープス株式会社 青山