「会社は騙せても部下は騙せないんだよ」というとあるマネージャーさんのおはなし

ブログを書こうと思いつつ、なんだか1日が過ぎてしまう感じが続いていました。何をしていたのかというと、特段忙しかったわけでもなく、かといって暇過ぎたわけでもなく、粛々と毎日過ごしています。そんなこんなでも会社は3期目になりました。がしがし営業するわけでもないのに、お客様がお客様を紹介してくれたり、相談者様が相談者様を紹介してくれたりとありがたく毎日仕事をさせていただいています。本当に皆さんありがとうございます。

もうちょっと売り上げも上げなきゃですし、会社としてもスケールしたほうがいいでしょう。仲の良いお客様にもこの間、「この先、会社どうしたいの?」と言われましたが、言葉に詰まってしまいました。そもそもあんまり欲深いタイプではないですし、年収何千万とかを一定期間でどかんと稼いでアーリーリタイヤメントとかより、毎月の所得が多くなくても生涯年収で稼げればいいやとか思ってしまうタイプなのです。ただ、お世話になってるお客様や実績出せてなくてもこの会社の成長に関わりたい。この相談者様の夢を叶えたい…という気持ちは日々高まっています。

経営者の悲痛「社員との埋められない距離」

社員いれるべきでしょうか?社員を入れたほうが絶対に安定しやすいと思いますし、会社の発展は見込めます。ただ、人材紹介業は究極に不安定な職業ですので、自力で業績と生計を立てられ相当優秀な方でかつ、僕のような臆病でディフェンシブな人間と一緒にやろうという変人でないと入れることはできません。2期目で一瞬採用しようと思いましたが、考え直しました。僕にはまだひとを採用する度量はありません。人を雇うこと、一緒に仕事をしていくこと、これはとても難しいことです。僕を臆病にしているのは多くの経営者様の声を聞いているからかもしれません。

とある経営者様が興味深いことを言っていました。「社員に感謝しているし、好きだけど心の底から信用…というとちょっと違う気がする」と。経営をする側と雇われる側には圧倒的な意識の差があって、運命共同体にはなれない。自分の家庭や資本を犠牲にしてスタートしたものと、人についてくるものでは全く違うのだと。

また、とある経営者さんは言います。すごく会社が辛い時があったそうです。胃を締め付ける思いでのリストラ。できる限りのコスト削減の実施、きついのはわかった上での社員への重い業務負荷を実施、ご自身も給与をカットし、金策に奔走し、営業で頭を下げ、必死に乗り越えたそうです。

「笑っちゃうんだけどさ、これ乗り越えられた時に俺、社員と絆が生まれたって勘違いしてたんだ」

あまり詳しくは書けないけど、とある事件があり、社長のシンパがほとんどいないことに気づいてしまったのだそうです。それはもう落ち込み、いままでは何だったのだろうと眠れない日々が続いたそうです。経営者が良い会社にしようと思っての行動やプロセスは話しても完全には理解できないし、社員はその時、もしくは数ヶ月から数年のスパンでしか物事を判断できないのは自分もそうだったなと最近、社員と会社という生き物の距離感についてはよくよく考えているそうです。

マネジメント層の獲得と成長が鍵

経営と雇用というものは本当に難しい。お互いの理解をするためのコミュニケーションは当然必要だけど、走りたての企業でない限り毎日は無理。ある程度の規模、いや小さくとも大事なのは経営側と従業員を繋ぐパイプ役なのかなと思います。マネージャー、リーダー、部長、課長、係長、主任…まぁ肩書きはなんでもいいですが、部下の本音と会社の求めるものを両方理解して、バランスを取る役。今の会社の現状に合わせて細かな方向の設計をする役目。

最近そういう人を求められる気がしています。それは現時点でマネジメントの経験の無い若手であってもです。どの企業様も若くて扱いやすい、染めやすい、御し易い人が単純に欲しいわけではなさそうです。
※なかなかいないんですけど、面接時は受身にはならず、選考先のチーム部門の悩みや課題を引き出して、ディスカッションくらいする気持ちで臨んでみてはいかがでしょう?

新卒が三年以内にうんちゃら%辞めると言われる時代です。中間層が育たないのはどの企業も悩みのタネでしょう。僕も第二新卒層の転職相談を受けていますが「わざわざ辞めなくてもいいのに」と思う相談が多いです。いわゆる転職って「前向き」かつ「目的」がないとダメなんですが、多くの悩みが「ただのボヤキ」とも言えてしまうものだったりします。ただ、ボヤキを持つのは僕もそうでしたし(経営やってる今もそうだし)、否定はしません。ボヤキから始まる気付きはとても多いですし。吸収してあげて顔を前に向けてあげることで頑張れる人もいます。先週まで散々辞めると騒いでいた相談者様が、所属会社の上司面談一回で180度変わる時もあります。それくらい若手って不安定なのが当たり前。人間てそういうの繰り返して成長していくのでしょうし(もしくはわきまえていくというか)、どうか各企業のマネジメント陣は部下の声に出せない気持ちを拾ってあげて欲しいなぁと思います。そうすれば、人はもうちょっと定着するかもしれませんよね。経営陣の方にいたっては信頼して任せてしまえる中間層をいかに育てるか、手に入れるかはとても大事なんだろうなと。

良いマネージャーは聞き上手で翻訳上手

先日、ありがたくもお声がけいただき、とある企業のマネージャーさんと営業同行しました。僕と年齢が近いのですが、マネジメントに関してはずっとずっと上の方。部下もお持ちです。今日ダラダラ書いてしまったような話を少ししましたところ、

「会社は騙せても(上とは調整できてもって意味だと思う)、部下って騙せないんだよね。部下って俺の言うことがすべてだから、すごく一言ひとことには気をつけているよ。同じように俺は部下のことすごく注意して見ているし、声も全部拾う。高圧的にはしない。話せなくなるから。同時に会社の求めていることを俺の求めるものとして話してる。ここまではやろう、そうすれば俺が全部責任持つからってwin-winの関係にしてるよ」

デフォルメしましたが、そんなことをおっしゃっていました。最後にもう一つ「マネジメントて面白いんだよねーほんと」とも。こういうマネージャーが増えてくれるといいですね。僕も一人目雇うとしたらこういう大人な人がいいなぁと思ったりしました。

※転職をお考えの方、採用をお考えの企業様はお気軽にお問い合わせください。

カノープス株式会社 青山

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この記事を書いた人

青山 俊彦のアバター 青山 俊彦 カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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