抑えておきたいSaaS企業の戦略3選【まとめ記事:2024年9月】

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SaaS業界は進化が早く、各企業は成功のために様々な戦略をとっています。本記事では、特に注目すべき3つの戦略「マルチプロダクト戦略」「マルチバーティカル戦略」「コンパウンドスタートアップ戦略」について過去記載した記事を元にそれぞれの特徴をまとめて解説します。今後も新たな戦略が生まれる可能性が高いですが、本記事を通じてSaaS企業がどのように競争力を高めているか理解を深めていただけていただければと思います。

マルチプロダクト戦略の概要とその成功要因

マルチプロダクト戦略は、企業が複数のプロダクトを提供し、幅広い顧客ニーズに対応する戦略です。複数のサービスを初期段階で提供する企業もありまましが、当初単体のサービスでスタートし、成功したプロダクトを基に関連プロダクトを追加するケースが多いようです。

主な特徴

  • 収益源の多様化:複数プロダクトを展開することで、一部の製品が成長を停滞しても、他の製品がそれを補い、全体の収益リスクを分散します。
  • 市場セグメントの多様化:異なるニーズを持つ複数の顧客層にアプローチでき、市場シェアの拡大や新たな市場への参入が期待されます。
  • クロスセル・アップセルの促進:既存顧客に対し、関連プロダクトを提案することで、顧客あたりの収益を増やすことが可能です。
  • 競争力強化:統合された製品群を提供することで、他社との差別化を実現しやすくなります。

成功企業例:マネーフォワードは、家計管理アプリに始まり、クラウド会計や税務申告ツールなどを展開することで、幅広い顧客層にリーチし、収益源を多様化しています。

参照記事
SaaS業界のマルチプロダクト戦略について学ぶ

マルチバーティカル戦略とSaaS企業の可能性

マルチバーティカル戦略は、特定の業界に絞らず複数の業界にサービスを提供しつつ、それぞれの業界特有のニーズに対応するアプローチです。ホリゾンタルSaaSの汎用性を活かしながら、バーティカルSaaSの深い専門知識を組み合わせることで成長を目指します。

主な特徴

  • リスク分散:複数業界に展開することで、一つの業界に依存せず、経済変動の影響を受けにくくなります。
  • 専門性と汎用性のバランス:共通課題を解決する汎用的なプロダクトを持ちながら、各業界に精通した柔軟なサービス提供を行うため、幅広い市場で受け入れられます。
  • 成長の可能性:複数業界からのフィードバックを活かし、プロダクトの改善や市場拡大が可能です。

成功企業例:カミナシはノンデスクワーカー向けのプロダクトを提供し、様々な業界の異なるニーズに対応することで、成長を遂げています。

参照記事
マルチバーティカル戦略とホリゾンタルSaaS・バーティカルSaaSの比較

コンパウンドスタートアップ戦略とは?

コンパウンドスタートアップ戦略は、企業が複数のプロダクトやサービスを当初から同時並行して展開し、リスク分散と成長を図るアプローチです。アメリカ発祥のこの戦略は、国内でも2020年代から注目を集めています。

主な特徴

  • 成長スピード:当初から複数プロダクトを投下することで単一プロダクトからの展開より成長スピードが早い
  • データ中心:機能もさることながら元になるデータを中心にサービス展開するため、複数同時展開していてもサービスが崩れづらい。
  • シナジー効果:プロダクト間での相乗効果により、顧客満足度を向上させ、新たな収益機会を生むことが可能です。

成功企業例:LayerXは、複数のプロダクトを同時に展開するコンパウンドスタートアップの代表例です。

参照記事
コンパウンドスタートアップ戦略とは?国内SaaS企業の実例を解説

各戦略のまとめ

まとめ

この記事では、SaaS業界における「マルチプロダクト戦略」「マルチバーティカル戦略」「コンパウンドスタートアップ戦略」の3つの主要戦略を取り上げ、それぞれの特徴と成功例について解説しました。これらの戦略は、成長フェーズや市場状況に応じて選択されるべきですが、共通して言えるのは、いずれも顧客ニーズに柔軟に対応し、企業の競争力を高めるための重要な手段であるということです。

青山 俊彦

青山 俊彦カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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