アクセラレーターとインキュベーターって何?:スタートアップ支援の違いを解説

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スタートアップ企業の成長を支援する「アクセラレーター」と「インキュベーター」。この2つの違いを理解することは、転職希望先がスタートアップであった場合とても重要です。本記事では、それぞれの特徴や代表的なプレイヤー、スタートアップにとってのメリットと注意点を詳しく解説します。

アクセラレーターとは?その特徴と役割

アクセラレーターは、すでに事業を開始しているスタートアップ企業に対して、短期間で集中的な支援を行うプログラムです。通常、3〜6ヶ月程度の期間で実施され、資金提供、メンタリング、ネットワーキングの機会などが含まれます。この短期集中型の支援は、急成長を目指すスタートアップにとって非常に有益です。

アクセラレーターの主な特徴は以下の通りです:
短期集中型のプログラム:限られた期間で成果を出すことを重視
少額の資金提供:プログラム参加と引き換えに、株式の一部を取得
経験豊富なメンターによる指導:成功経験のある起業家や業界の専門家がサポート
デモデイの開催:投資家とのマッチングの機会を提供し、資金調達のチャンスを創出

代表的なアクセラレーターとして、Y Combinatorがあります。Y Combinatorは2005年に設立され、Airbnb、Dropbox、Stripeなどの有名企業を輩出しています。また、Techstarsや500 Startupsも世界的に知られたアクセラレーターです。

インキュベーターの定義と主な機能

インキュベーターは、アイデア段階や創業間もない企業を対象に、長期的な支援を行う組織です。オフィススペースの提供や基本的なビジネスサポート、ネットワーキング機会の提供を通じて、スタートアップの成長をサポートします。インキュベーターの支援は、通常1年以上の長期にわたることが多く、じっくりと企業の成長を見守ります。

インキュベーターの主な特徴は以下の通りです:
長期的な支援:1年以上の期間をかけて企業の成長をサポート
オフィススペースの提供:作業環境を整え、企業が集中して事業に取り組めるよう支援
基本的なビジネスサポート:法務、会計、マーケティングなどの基礎的な支援を提供
必ずしも資金提供を行わない:資金よりもリソースやサポートに重点を置く

日本の代表的なインキュベーターとしては、東京大学が運営する「東京大学アントレプレナープラザ」や、企業内での新規事業開発を支援する形のインキュベーターも存在します。

アクセラレーターとインキュベーターの主な違いを整理

上記の繰り返しになりますが、アクセラレーターとインキュベーターを支援対象、支援機関、資金提供、プログラムの構造で整理してみましょう。

支援対象:
アクセラレーター:既に事業を開始し、MVP(Minimum Viable Product)を持つスタートアップ
インキュベーター:アイデア段階や創業間もない企業

支援期間:
アクセラレーター:3〜6ヶ月程度の短期集中型
インキュベーター:1年以上の長期的な支援

資金提供:
アクセラレーター:少額の資金提供と引き換えに株式を取得
インキュベーター:必ずしも資金提供を行わない

プログラムの構造:
アクセラレーター:体系的なプログラムと明確なゴール設定
インキュベーター:柔軟な支援と個別のニーズに応じたサポート

スタートアップにとってのメリットと注意点

アクセラレーターやインキュベーターの支援を受けることは、スタートアップにとって多くのメリットがありますが、注意点もあります。

メリット:
資金調達の機会:特にアクセラレーターは資金提供の機会を提供
経験豊富なメンターからの指導:成功した起業家や専門家の知識を活用できる
ネットワーキングの機会:投資家や他のスタートアップとのつながりを築ける
事業成長の加速:プログラムを通じて成長を促進
信頼性の向上:有名なプログラムの参加は企業の信用度を高める

注意点:
株式の希薄化:アクセラレーターへの参加には株式の一部を譲渡することが求められる
プログラムの要求に応じたスピード感:短期間での成果を求められるため、迅速な対応が必要
自社の方向性とプログラムの方針の不一致:プログラムの方向性が企業のビジョンと合わない場合がある
競合他社との関係:同じプログラムに参加する他社との競争も発生する可能性がある

特にSaaS企業にとっては、製品開発のスピードアップや顧客獲得の戦略構築において、アクセラレーターのサポートが有効です。

まとめ

アクセラレーターとインキュベーターは、スタートアップの成長を支援するための重要な存在です。アクセラレーターは短期集中型で急成長を目指す企業に適しており、インキュベーターは長期的な視点でじっくりと成長を見守る企業に適しています。SaaS業界でキャリアアップを目指すビジネスパーソンにとって、これらの支援組織の違いを理解することは、キャリア戦略を立てる上で重要なポイントとなります。

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青山 俊彦

青山 俊彦カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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