
営業において、商談の見込み度を迅速かつ的確に判断することは極めて重要です。そんな中、多くの企業で活用されているのが「BANTCH」という情報収集フレームワークです。本記事では、BANTCHの基本的な構成要素から、SaaS営業での具体的な活用事例、導入・運用のポイントまでを詳しく解説します。営業の質を高めたい方必見の内容です。
BANTCHとは?営業で使われる理由
BANTCHは、営業活動の初期段階で商談の見込み度を見極めるためのフレームワークです。元々はIBMが提唱した「BANT(Budget, Authority, Need, Timeframe)」が原型で、これに「Competitor(競合)」と「Hurdle(障壁)」を加えた拡張版が「BANTCH」です。
営業担当者が限られた時間で有望なリードを見極め、次のアクションに繋げるための有力な武器として、多くのSaaS企業に採用されています。情報収集の精度を高めることで、商談の進捗を正確に把握できるようになります。
BANTCHの6つの構成要素と質問例
BANTCHは以下の6つの要素で構成されます。
・Budget(予算):例「予算は確保されていますか?どのように決まりますか?」
・Authority(決裁権):例「どなたが最終的に意思決定されますか?」
・Need(ニーズ):例「現在抱えている課題は何ですか?」
・Timeframe(導入時期):例「導入はいつ頃を想定されていますか?」
・Competitor(競合):例「他に比較されているサービスはありますか?」
・Hurdle(障壁):例「導入に際し、乗り越えるべき課題はありますか?」
これらの質問を通して、リードの状況を多角的に把握することができます。
案件の確度を判断するBANTCHの実践活用法

BANTCHの最大の強みは、商談の確度を可視化できる点です。各項目に対する情報がそろっていれば、その案件はSQL(Sales Qualified Lead)として高い見込みがあると判断できます。一方で、情報が不十分な場合は、フォローの方法を見直す必要があります。
営業担当者は、これら6つの要素をCRMに記録し、チーム内で共有することで、誰が見ても案件の状況を把握できる体制を整えることができます。
SaaS営業におけるBANTCH導入事例
多くのSaaS企業では、BANTCHをインサイドセールスの判断基準として導入しています。たとえば、ある企業では「BANTCHのうち70%以上の情報が確認できた場合にSQLとする」といった明確な基準を設けています。
また、初回ヒアリングでBANTCHを網羅できるよう、スクリプトやテンプレートを用意している企業もあります。これにより、営業活動が属人化せず、一定の品質で顧客対応が可能になります。
効果を最大化するための運用ポイント
BANTCHを効果的に運用するためには、ヒアリング力の強化と運用ルールの徹底が欠かせません。各質問に対して「はい・いいえ」だけで終わらせず、深堀りする姿勢が重要です。
また、CRM上でBANTCHの進捗状況を一元管理し、営業会議などでのレビューを行うことで、常に情報の精度と鮮度を保つことができます。さらに、マーケティング部門と連携して、商談前から一部のBANTCH項目を取得できる体制を整えることも有効です。
まとめ
BANTCHは、SaaS営業において見込み客の確度を見極め、戦略的なアプローチを可能にする強力なフレームワークです。今回紹介したように、6つの構成要素を通して顧客理解を深めることで、商談成功の可能性が飛躍的に高まります。日々の営業活動に取り入れることで、より成果につながるアクションが実現できるはずです。
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