自分の中にもミッションとビジョンを。セルフ・コンコーダント・ゴールとは何か?

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現代のビジネスパーソンは、ただ目の前のタスクをこなすだけではなく、自己実現に向けて主体的に目標を設定し達成していく力が求められています。
その中で「セルフ・コンコーダント・ゴール」という考え方は、単なる業績や評価を超えた「自分らしさ」を発揮するうえで大きなヒントとなります。本記事ではセルフ・コンコーダント・ゴールの基本概念を紹介し、それをどのようにして自分自身のミッションやビジョンに結びつけていくかについて詳しく解説します。

セルフ・コンコーダント・ゴールとは何か?

「セルフ・コンコーダント・ゴール」(self-concordant goals)とは、自己一致的目標とも呼ばれるもので、個人の内面の価値観や情熱、関心と一致する目標を指します。心理学者のケノン・シェルドンとアンドリュー・エリオットが提唱し、タル・ベン・シャハーの著書「ハーバードの人生を変える授業」にも取り上げられていたこの概念は、私たちが自分の内面から本当に望む目標を持ち、行動に落とし込むことの重要性を示しています。これにより、自分の価値観と目標が一致するため、目標達成の過程において「自分らしさ」を発揮しやすくなり、達成感も高まります。

一般的な目標設定では、外部からの評価や周囲の期待に応えるための目標も含まれますが、セルフ・コンコーダント・ゴールは「自分にとって意味のあること」を前提としたものです。このような自己一致的な目標は、成長意欲を持ちながらも無理なく取り組め、結果的に内的な満足感や幸福感にも繋がりやすくなります。

セルフ・コンコーダント・ゴールのメリット

セルフ・コンコーダント・ゴールを設定することには多くのメリットがあります。まず、自分の内面の価値観に沿った目標を持つため、モチベーションが持続しやすくなります。たとえば、昇進や収入の向上を目指すことが一般的な目標であったとしても、そこに「社会に貢献する」「自己成長を目指す」といった自分の価値観に基づく要素が加わることで、ただの数値目標以上の意味が生まれ、達成感が増します。

また、セルフ・コンコーダント・ゴールは、他人の評価に左右されにくいのも特徴です。多くの人は仕事において他者の評価を気にしがちですが、セルフ・コンコーダント・ゴールに基づいて行動すれば、たとえ他人の評価が得られない場面でも、自分なりの意味や達成感を得やすくなります。これは、メンタルの安定にもつながり、失敗や困難に直面した際の回復力を高めてくれる効果もあります。

さらに、セルフ・コンコーダント・ゴールを持つ人は、幸福感や満足感を感じる傾向が強いとされています。自分にとって意味がある目標に向かって努力することは、日々の充実感や生きがいにつながり、長期的なキャリアの成功にも貢献する可能性が高いとされています。

自分のミッションとビジョンを考える方法

セルフ・コンコーダント・ゴールを効果的に活用するためには、自分自身のミッションやビジョンを明確にすることが大切です。ここでの「ミッション」は、自分が果たしたい役割や目的であり、「ビジョン」はその目的を達成した後に実現したい理想の姿を意味します。これらを考える際には、以下のステップが役立ちます。

1.価値観の明確化
 まず、自分がどのような価値観を持っているかを整理しましょう。たとえば、「人とつながること」「成長すること」「社会に貢献すること」など、自分が大切にしたい軸を洗い出してみてください。

2.人生の目的や意義を考える
自分にとって意義あることを考え、そこから人生で実現したいことを見つけましょう。「家族との時間を大切にする」「多くの人にポジティブな影響を与える」など、価値観に基づいたミッションを設定します。

3.未来の自分の姿を描く
ミッションを達成した先にどのような理想の姿があるかを思い描いてください。これがビジョンとなり、日々の行動を支える重要な指針となります。

これらのステップを経ることで、セルフ・コンコーダント・ゴールのベースが固まります。自己理解が深まると、目標設定もより自分らしいものとなり、達成意欲も高まります。

セルフ・コンコーダント・ゴールと仕事の関係

ビジネスの場でセルフ・コンコーダント・ゴールを活用すると、日々の業務に対する意識が変わります。IT、スタートアップような変化が激しい分野では、新しい知識やスキルを積極的に学ぶことが必要とされますが、外的なプレッシャーだけに動機づけられていると、長続きしない場合が多いでしょう。

一方で、「自分のスキルを生かして顧客に貢献したい」「サービスを通じて業界の未来に貢献したい」といったセルフ・コンコーダント・ゴールがあれば、自発的な学びが促進され、苦労を苦労と感じにくくなります。また、周囲からの評価に依存せず、主体的にキャリアを築く姿勢が生まれます。このようにセルフ・コンコーダント・ゴールに基づく目標は、仕事の質と満足感を高めるだけでなく、自己成長にもつながるのです。

セルフ・コンコーダント・ゴールの実践方法

セルフ・コンコーダント・ゴールを実際の行動に落とし込むためには、以下のようなステップを日々のルーチンに取り入れてみましょう。

1.定期的に自己反省の時間を設ける
自分の価値観や現在の目標が一致しているかを定期的に振り返ります。週ごとや月ごとに自分の行動をチェックすることで、内面的な動機づけがしっかりしているかを確認できます。

2.小さな成功体験を積み重ねる
セルフ・コンコーダント・ゴールに基づいた小さな目標を設定し、達成を積み重ねていくと自信が深まります。これにより、自己一致的な行動が習慣化しやすくなります。

3.周囲に自分の目標をシェアする
家族や同僚に、自分が何を目指しているかを伝えることで、モチベーションの維持に役立ちます。他者に共有することで、自分の目標に対する責任感も高まるため、より一層の努力が促されるでしょう。

セルフ・コンコーダント・ゴールは一朝一夕に達成されるものではありませんが、日々の習慣に取り入れることで徐々に自己一致的な目標達成が可能になります。

まとめ

セルフ・コンコーダント・ゴールは、外部の評価やプレッシャーに左右されず、自分の価値観に基づいて行動するための指針です。自分にとって意義のある目標を持ち、ミッションやビジョンに沿って行動することで、ブレない軸が形成され、仕事においても日々の充実感や成長感を味わえるようになります。

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青山 俊彦

青山 俊彦カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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