フェルミ推定は、面接で使用される論理的思考力を測る質問形式の一つです。特にコンサルティング業界で見かけることが多く、限られた情報からどのように合理的な結論を導き出すかを評価します。この記事では、フェルミ推定の概要、面接での出題意図、さらに実際の質問例と回答事例を紹介し、適切に対応するためのポイントを解説します。
フェルミ推定とは何か?その定義と目的
フェルミ推定は、物理学者エンリコ・フェルミにちなんで名付けられた、限られた情報から合理的な推論を導き出す方法です。この手法は、不確かな状況下でも仮定を設定し、論理的に概算を求めるスキルを問います。たとえば「日本にある自動販売機の総数を推定せよ」というような問題が出されます。このような質問を通じて、問題解決能力、論理的思考力、そして柔軟な発想力を評価していきます。
面接でフェルミ推定が出題される理由
フェルミ推定が面接で使われるのは、単に数値の正確さを問うためではありません。面接官は、候補者がどのように問題に取り組むのか、情報をどのように整理し、仮定を設定し、合理的な結論を導き出すのかを観察しています。また、この質問は、論理的思考だけでなく、コミュニケーションスキルの評価にもつながります。考えを明確に説明し、面接官が理解しやすいように伝える能力は、どの職種でも重要視されるポイントです。
フェルミ推定の典型的な質問例
面接で出題されるフェルミ推定の質問には、次のようなものがあります。
- 「東京にはいくつのタクシーが走っているか?」
- 「一日に日本中で消費されるパンの枚数を推定せよ」
- 「世界中で使われている電球の総数を見積もってください」
- 「国内で1年間に販売されるスマートフォンの台数を推定してください」
- 「世界中のピアノの調律師の人数を推定せよ」
これらの質問は日常的に考えることは少ないですが、限られた情報から答えを導き出す過程が重要です。候補者は、仮定を立て、問題を要素に分解し、段階的に計算するプロセスを示す必要があります。
フェルミ推定に対する効果的な回答方法とステップ
フェルミ推定の質問にうまく対応するための基本的なステップは以下の通りです。ここでは「東京都には何台のタクシーが走っているか?」という質問を例にします。
1.問題の理解と仮定の設定
まず、質問をよく理解し、何を聞かれているのかを把握します。その上で、自分の仮定を面接官に説明します。たとえば「東京の人口は約1,400万人であると仮定します」といった具合です。
2.問題の分解
問題を小さな要素に分解します。たとえば「東京のタクシーの台数」を推定する場合、「人口のうちどのくらいの人がタクシーを利用するのか」「平均的なタクシーの稼働率はどれくらいか」など、関連する情報に細かく分けて考えます。
3.計算と推定
各要素の数値を基に、簡単な計算を行います。たとえば、次のように考えてみましょう。
例:東京のタクシーの台数を推定する計算
- 仮定1:東京の人口は約1,400万人。
- 仮定2:1日のうち、タクシーを利用するのは全体の5%とする。つまり、1日のタクシー利用者は約70万人(1,400万人 × 0.05)。
- 仮定3:1台のタクシーが1日に約20回乗客を運ぶとする。
計算:
- 70万人の利用者を1台のタクシーが1日に20回運ぶと仮定すると、必要なタクシーの台数は以下のように計算されます。
- 必要なタクシーの台数 = 70万人 ÷ 20回/台 = 35,000台
このように仮定を設定し、分かりやすい計算式で推定することが大切です。仮定した数値が多少異なっていても、全体の流れが合理的であれば良しとされることが多いです。
4.結果の提示と理由づけ
最終的な結果を提示し、どのようにその答えに至ったのかを説明します。たとえば、「以上の仮定と計算に基づき、東京には約35,000台のタクシーが走っていると推定しました」というように結論を述べます。
まとめ
フェルミ推定は、限られた情報から合理的な数値を導き出す手法で、論理的思考力を評価するための質問です。面接での対応では、仮定を設定し、問題を分解して計算するプロセスが重要です。適切に対応するためには、普段からいろいろな物事を数値化して考える癖をつけることが有効です。また、面接中は考える時間を確保し、仮定や論理的なステップを面接官にしっかり説明するよう心がけましょう。
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