
ノーコード/ローコード開発は、従来エンジニアだけが担っていたアプリ開発を、非エンジニアでも実現可能にする新しい開発手法です。開発スピードの向上やコスト削減に加え、プロダクト思考を持つ人材の活躍領域を拡大しています。SaaS業界にも親和性が高く、プロダクトマネージャーやBizDev職は押さえておきたいスキルセットです。本記事では、ノーコード/ローコードの定義、特徴、ユースケースなどについて解説します。
ノーコード/ローコード開発とは?その違いと概要
ノーコード開発は、プログラミングを一切使わずにGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を通じてアプリケーションを構築する手法です。
一方、ローコード開発は最低限のプログラミングを必要とするものの、従来の開発に比べて大幅にコード量を削減できる点が特徴です。
両者に共通するのは、非エンジニアが開発に関与しやすくなるという点です。これにより、ビジネス部門と開発部門の垣根が低くなり、よりスピーディで柔軟なプロダクト開発が可能になります。
開発スピードとコスト削減を実現する特徴とは
ノーコード/ローコード開発の最大の魅力は、アプリ開発のスピードを大幅に向上できる点です。
・MVP(Minimum Viable Product)やプロトタイプ制作が短期間で可能
・市場投入までの期間を短縮し、仮説検証サイクルを高速化
・開発人材への依存度が低いため、人件費を削減できる
・外注リスクや社内調整の負荷を軽減
特にスタートアップや中小企業においては、限られたリソースで事業価値を最大化する手法として注目されています。
実際に使われているツールと活用ユースケース

ノーコード/ローコードツールは多様化しており、用途に応じてさまざまな選択肢があります。
・Bubble(Webアプリ開発ツール)
・Adalo(モバイルアプリ向けノーコード開発ツール)
・Glide(ExcelやGoogleスプレッドシートと連携してアプリを作れるノーコード開発ツール)
・OutSystems、Mendix、Microsoft Power Apps(エンタープライズ向けローコード開発ツール)
・Retool(業務アプリ向けのBtoB向けローコードツール)
ユースケースとしては以下のようなものがあります。
・顧客管理、請求管理などの業務アプリ
・Web予約システムや簡易ECサイトの構築
・SaaSライクなプロダクトの立ち上げ
・副業・マイクロSaaSプロジェクトの初動開発
使い方次第では、サービス開発の初期段階を完全にノーコードで完結させることも可能です。
キャリア形成におけるノーコードの価値とは?
ノーコード/ローコードの習得は、非エンジニアにとってキャリア形成上の強力な武器になります。
・実際に「手を動かして」プロダクトを作れる経験が得られる
・UI/UXやユーザビリティへの理解が深まる
・エンジニアと円滑にコミュニケーションできる素地ができる
・BizDevやプロダクトマネージャー職としての市場価値が高まる
また、自作アプリやPoC(概念実証)をポートフォリオとして提示できるため、転職活動でもアピールしやすいというメリットがあります。
今後の展望:AIとの融合とエンタープライズ化
ノーコード/ローコード開発は、生成AIとの融合によってさらに進化すると見られています。
・自然言語で指示を出すだけでアプリが生成される機能の実用化
・AIによるUI生成やワークフローの自動設計
・セキュリティ/ガバナンス機能の強化によるエンタープライズ展開
・社内業務の自動化、社内ツールの高速開発にも活用
大企業でもIT部門主導のもと、部門横断でのノーコード導入が進んでおり、業務改善やDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環として活用されつつあります。
まとめ
ノーコード/ローコード開発は、非エンジニアでもアプリ開発に関われる画期的な手法です。スピード感ある開発が可能で、スタートアップから大企業まで広く導入が進んでいます。SaaS業界との親和性も高く、プロダクト思考を磨く場としても最適です。今後は生成AIとの融合やエンタープライズ対応の進展により、さらに注目が集まることが予想されます。
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