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1on1は、単なる進捗確認や指導の場ではなく、部下の成長とモチベーションを引き出す重要な機会です。しかし、数字やKPIを押し付けたり、できない理由を一方的に追及したり、自分の成功体験をそのまま押し付けるようなやり方では、部下は疲弊してしまいます。
では、どのようにすれば部下のやる気を引き出し、自発的に成長できる1on1を実施できるのでしょうか?本記事では、押し付けにならずに部下の意欲を高める1on1のやり方について解説します。
部下の「入社理由」と「キャリアの目標」を理解する
部下のやる気を引き出すためには、まず「なぜこの会社に入社したのか」「どのようなキャリアを目指しているのか」を理解することが重要です。これを理解せずに、ただ業務の話や数字の話ばかりしても、部下にとっては「やらされ仕事」にしか感じられません。
・入社理由の確認
部下が何を期待してこの会社を選んだのかを改めて聞くことで、その人が大切にしている価値観やモチベーションの源泉を知ることができます。
・キャリアの目標を引き出す
短期的な目標だけでなく、3年後・5年後にどんなキャリアを歩みたいのかを問いかけることで、成長の方向性を明確にすることができます。目標が明確ではない場合は、押し付けずできることを増やせる様に1ヶ月ごとの小さなタスクを一緒に決め、振り返ることで目標が見えてくる場合もあります。
こうした背景を知ることで、上司としてのフィードバックも的確なものになり、部下の「納得感」も高まります。
会社やチームのミッションと業務をアラインさせる
部下の目指すキャリアと、会社やチームのミッション、そして日々の業務をすり合わせることで、仕事の意義を感じられるようになります。
・会社やチームのミッションを共有する
「このチームが目指していることは何か」「会社としてどんな価値を提供していくのか」を伝えることで、部下の視野を広げます。
・業務とのつながりを示す
日々のタスクが単なる作業ではなく、チームの目標や会社のミッションとどう結びついているのかを示すことで、仕事に対するモチベーションが高まります。
このように、個人の目標と組織の目標をうまくリンクさせることで、部下が自ら意義を感じながら仕事に取り組めるようになります。
KPIや数字は「一緒に考える」スタンスを持つ
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1on1でKPIや数字の話をするとき、押し付けるような形になってしまうと、部下はプレッシャーを感じてしまいます。そこで、「なぜこの目標があるのか」「どうすれば達成できるのか」を一緒に考えるスタンスを持つことが重要です。
・目標の意図を説明する
KPIが設定された背景を伝えることで、部下が納得感を持ちやすくなります。
・達成のための方法を一緒に考える
単に「達成しろ」と言うのではなく、「どうすれば達成できるか」を部下と一緒に考えることで、主体的に取り組めるようになります。
・失敗を責めるのではなく、改善策を考える
未達の際に「なぜできなかったのか」と責めるのではなく、「次はどうするか?」という未来志向の話をすることで、前向きな姿勢を引き出せます。
このように、部下とともに考え、納得感を持たせることが、KPIに対するモチベーションを高めるポイントです。
1on1では「聞く力」を重視する
1on1の場では、上司が話しすぎるのではなく、部下の話をしっかり聞くことが大切です。聞くことを重視することで、部下の本音を引き出し、信頼関係を深めることができます。
・オープンクエスションを使う
「最近どう?」などのざっくりした質問ではなく、「今の仕事でやりがいを感じていることは?」「課題に感じていることは?」と具体的な質問を投げかけると、部下も話しやすくなります。
・沈黙を恐れない
部下が考えている間に、上司が話をかぶせてしまうことがあります。しかし、部下が考える時間を尊重し、待つことも重要です。
・共感を示す
部下の発言に対して「そう思うんだね」「なるほど」と共感を示すことで、安心して話せる雰囲気を作れます。
まとめ
1on1は、単なる指導の場ではなく、部下のやる気を引き出し、成長をサポートする貴重な機会です。数字やKPIを押し付けるのではなく、部下の入社理由やキャリアの目標を理解し、会社やチームのミッションと業務をアラインさせることで、仕事の意義を感じられるようになります。また、KPIについても押し付けるのではなく、一緒に考える姿勢を持つことが大切です。何より、1on1では「聞く力」を意識し、部下が本音を話せる環境を作ることが、効果的なコミュニケーションにつながります。
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