転職活動の面接では、「将来目指しているキャリアは?」と聞かれることがよくありますが、明確に答えられず困ったことがある方は多いのではないでしょうか?
「将来のことなんてわからない」と考えることを止めてしまわずに、この質問を通じて採用担当者が何を知りたいのかを理解し、どのように答えるべきかについて考えてみましょう。
面接官がこの質問で知りたいこと
面接官が「将来目指しているキャリアは?」と尋ねるのは、候補者が自身のキャリアについて真剣に考えているかどうか、またそのキャリアビジョンが企業の方向性と一致しているかを確認するためです。言い方を変えると、入社後の活躍の可能性、意欲、定着性などを見ていると言っても良いでしょう。
活躍の可能性の見極め
明確な目標を持ち、計画的に成長しようとしている候補者は活躍の可能性が高いため。
成長機会の提供:
現状や将来性を踏まえ、候補者が目指すキャリアを会社側が提供できるか確認したい。
成長意欲の確認:
今後どのようにスキルや知識を伸ばしていくのか、自身のキャリアに対して真剣か意欲を確認したい。
定着性の確認:
明確な目標を持つ方は、短期での離脱などのリスクが軽減されるためその点を確認したい。
この質問への回答は、単に「こんなキャリアが欲しい」と述べるだけでなく、その背景といつまでに実現するかどうか伝えることが大事です。絶対的な正解のない質問ですが、場当たり的な回答をすると、マイナス加点されてしまうこともあります。
回答を準備する際のポイント
「将来目指しているキャリア」に対する回答を準備する際は、以下の点に気をつけると効果的です。
自分の強みや経験に関連付ける:
自分が今まで積み上げてきた経験やスキルを活かして、どうそれを発展させていくのか?という観点で考えてみましょう。「自分の強みをどう活かすか」がポイントです。
企業のミッション/ビジョン/バリューと関連づける:
応募先企業のミッションやビジョンを調べ、自身の目指すキャリアや理想にどのようにリンクするか考えてみましょう。採用担当者は自社で長く活躍できる人材を求めているため、「この企業でこそ実現できるキャリア」を語ると効果的です。
理想は大きく持ちそこに至るステップを想定:
いまは非現実的な目標だとしても、数年かけてステップアップしていけば到達できる可能性が高まります。それは今回の転職だけで叶わないものかもしれませんが、10年先、5年先、3年先、1年先の4つのステップで目標に向けてどんなスキルを身につけてきたいか考えてみましょう。
上記のような点を押さえたストーリーテリングができると面接官も安心して次の選考に進めることができるようです。
将来目指すキャリアが明確でない場合の参考例
SaaS業界では多彩なキャリアパスがあります。大枠の話ですが、自分の志向性に合ったパスを例に挙げ、面接官に伝えましょう。
スペシャリストキャリア
ゼネラリストというよりは特定ポジションでの業務を突き詰めるキャリアパスです。顧客志向の強い方やひとつのスキルに特化し、特定領域のプロフェッショナルスキルを持つ手本のような存在になりたい方におすすめです。
マネジメントキャリア
スペシャリストと対比される事が多いキャリアパスですが、自身だけの力にとどまらず、チームを牽引し、多くのお客様に自社サービスのメリットを啓蒙し、また会社にも貢献度の高い実績を残せるキャリアパスです。大規模組織を牽引できるようになると、市場価値も高まりやすい傾向があります。
サービス開発や企画領域のキャリア
市場のニーズを捉えた製品戦略を立案し、エンジニアやデザイナーと連携して製品開発を推進するポジション。ビジネスと技術の両面の知識が必要で、簡単になることはできませんが、先々のキャリアのゴールとして描きやすい目標かと思います。
会社役員
現場業務からさらに上の会社役員クラスを目指すキャリアです。簡単な道のりではありませんが、市場の動向を踏まえたサービス作りや戦略立案、会社存続発展のための多彩な能力が必要とされ、市場価値も高いキャリアです。現場最高役職である執行役員は努力と結果次第では手にいられらる可能性があります。
成長意欲をアピールする答え方
将来のキャリアについて語る際、成長意欲を自然にアピールできる回答のポイントは以下です。
短期・中期・長期の計画を伝える
例えば、「まずは2~3年間、カスタマーサクセスの現場で経験を積み、その後チームリーダーやマネージャーとしての経験を積みたい」といったように、段階的にステップアップを目指していることを示します。
学び続ける姿勢を示す
「現状のスキルに満足せず、新しい技術や知識を積極的に学び続けたい」という姿勢を見せることで、変化の速いSaaS業界に対応できる柔軟性を示しましょう。
社会に対する貢献意識を含める
「単に自己成長だけでなく、SaaSを通じてお客様のビジネス成長に貢献することが目標です」というように、広い視野でキャリアを伝えられると尚良いです。
実際の回答例
いくつかの実例を参考に、自分の言葉で答えられるようにしておきましょう。
回答例1:カスタマーサクセス志望の場合
「私は将来、カスタマーサクセスのスペシャリストとして、お客様の事業成功を支援するポジションを目指しています。まずは現場での経験を積み、お客様のニーズを的確に捉える力をつけたいと考えています。そして、将来的にはチームを牽引する役割を担い、お客様が最大限の成果を引き出せる体制を作りたいと考えています」
回答例2:プロダクトマネージャーを目指す場合
「私の目指すキャリアは、プロダクトマネージャーとして、お客様の課題解決に直結する製品の企画・開発に携わることです。現在は営業経験を通じて市場のニーズを学んでいる最中ですが、今後は技術的な理解も深め、ビジネスと技術の架け橋となれる存在になりたいです」
回答例3:営業マネージャーを目指す場合
「私は将来、SaaSの営業マネージャーとしてチームをまとめ、企業の成長に貢献できる立場を目指しています。個人の目標達成だけでなく、チーム全体のパフォーマンスを上げ、継続的な成長を実現するためのリーダーシップを発揮したいと考えています」
まとめ
「将来目指しているキャリアは?」という質問には、ただ憧れを語るのではなく、具体的なキャリアプランを示すことが重要です。応募先企業での成長ビジョンと自分の目指す姿をリンクさせ、説得力ある回答を心がけましょう。面接官に自分の成長意欲と企業への貢献意識を感じてもらうことで、採用においてプラスの印象を与えることができます。
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