転職活動を進めるにあたって、「一体何社受けるべきか?」と悩まれる方は多くいらっしゃいます。在職中であれば、時間の制約が大きくなるため、応募先の数や選考を受けるタイミングを慎重に計画する必要があります。一方、離職中であれば時間的な余裕はありますが、選考を進める企業の数や方向性については在職中と同様に慎重に決めるべきです。
この記事では、転職活動中に受けるべき選考社数について、在職中と離職中のケースに分けて解説し、効率的かつ戦略的な転職活動を行うための考え方をお伝えします。
在職中の転職活動:限られた時間での計画的な行動
在職中に転職活動を行う場合、時間の制約が大きな課題となります。現職の業務に加えて転職活動を並行して行うため、時間の捻出は難しく、どれだけ効率的に活動を進められるかが重要になってきます。まず、転職に対する自分の方針を明確にすることが第一ステップとなります。
もし、「良いご縁があったら転職を考える」というスタンスであれば、自分のペースで興味のある企業にのみ絞って受けることができます。この場合、活動にそこまで時間を割く必要はなく、多くの企業へ応募する必要もないでしょう。
一方、「〇ヶ月以内に必ず転職する」といった明確な転職時期を設けて活動を進める場合には、より入念な計画が求められます。通常、各企業の選考は2〜3回の面接を伴うため、これらを同時に進行するにはかなりの時間と労力が必要です。特に在職中であれば、同時進行で面接を進められるのは5社程度。これ以上の面接を並行すると、業務と転職活動のバランスを取るのが難しくなります。
希望する職種や企業の選考難易度にもよりますが、実際の応募は書類選考の通過率も想定しながら動くのが良いでしょう。
例えば、今と同じもしくは類似業界×同じもしくは類似職種での応募であれば書類通過率も高いため、書類通過率70-80%と見立てて、応募6-7社。また、今と全く異なる業界×今と全く異なる職種での応募やそもそも応募数が少ないポジション(人事や経理など1企業で1-2名の応募枠しかないポジション)などであれば書類通過率25%と見立てて、応募20社など。あくまで一例ですが、参考にしてみてください。
離職中の転職活動:自由度と集中力のバランス
離職中の転職活動は、時間的な余裕があるため、受ける企業の数やスケジュールに柔軟に対応することができます。ただし、ここでも「応募社数が多ければ良い」というわけではありません。例えば、30社以上の選考を同時進行で進めると、どこで何の面接を受けているかを把握するのが難しくなり、効果的な準備ができなくなることがよくあります(就職活動で経験のある方もいるのではないでしょうか?)。
離職中であっても、転職の方向性や目標を明確に定め、集中して応募できる社数を選ぶことが重要です。10〜20社程度をターゲットにし、面接が進行するように調整するのが現実的でしょう。
また、離職期間が長引くと「なぜこの間、転職が決まらなかったのか?」というネガティブな印象を与えてしまうこともあります。そのため、離職期間は3ヶ月程度を目安に短期間で活動を終えることが理想です。
受ける数の前に転職の軸を明確に
転職活動を成功させるためには、応募社数の決定にあたって「自分の転職軸」を定めることが不可欠です。転職軸とは、転職先に求める条件や自分のキャリアプランを明確にし、それに基づいて企業を選定する基準です。この軸を曖昧にしたまま多くの企業に応募してしまうと、結果的にどの企業が自分に合っているのかが分からなくなり、効率的な転職活動ができなくなります。
たとえば、「年収アップを重視する」「リモートワークが可能な職場を探す」「キャリアアップのチャンスがある企業」というような明確な基準を持つことで、企業選びがより的確になります。この転職軸を元に、応募する企業を絞り込んでいくことで、無駄なエネルギーや時間を節約し、効率的な活動が可能となります。
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面接と企業研究:同時進行での負担を軽減する方法
面接は企業ごとに異なるプロセスや質問があり、しっかりとした対策が求められます。同時に複数社の面接を受ける場合、企業研究や面接準備が重なり、プレッシャーが大きくなります。このため、企業ごとのスケジュールを上手に管理することが不可欠です。
複数企業の面接を並行して受ける場合、スケジュールがかぶらないように調整するだけでなく、面接ごとに企業研究を徹底して行う必要があります。企業ごとに異なる強みや価値観を理解し、どのように自分がその企業にマッチするかを具体的に説明できるようにすることで、選考通過率を高めることができます。
負担を軽減するためには、企業研究や自己分析をしっかりと行い、どの企業にどのようなアプローチをするかを事前に考えておくことが重要です。そのための時間を確保できる無理のない応募数を検討しましょう。また、面接対策を外部に頼むのも1つの方法です。人材紹介会社のエージェントに相談し、模擬面接やアドバイスを受けることで、効率的に準備を進めることもできます。
まとめ
転職活動で受けるべき社数は、自分の状況や方針に応じて調整する必要があります。在職中であれば、限られた時間で効率的に進めるため、選考企業数は絞る方が良いでしょう。一方、離職中であれば時間に余裕があるものの、集中して進められる企業数一定数に絞るのは、在職中と同様です。重要なのは、書類選考の通過率や面接準備の負担を考慮し、自分の転職軸を定めて効率的に進めることです。転職活動を戦略的に計画し、無理のない範囲で応募社数を調整することが、成功のカギとなります。