「あなたのWILLは何?」自分のやりたいことを言語化する方法

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面接では「どんなキャリアを歩みたいですか?」「あなたのキャリア目標は何ですか?」といった質問をされますが、これは全て「WILL」つまりあなたが本当にやりたいことが何なのかと問うているのです。そんなこと言われても…と思うかもしれませんが、先々満足感の高いキャリア選択をするためにはご自身のWILLを言語化しておいて損はありません。スキルや実績も当然大切ですが、WILLを言語化し、意識的にキャリア選択をすることで、自分に合った職場を見つけ、長期的な成長に繋げることができます。この記事では、WILLの洗い出し方や言語化の具体的なプロセスを、事例を通して解説します。

WILLとは何か?キャリアでなぜ大事なのか

「WILL」とは、自分が心からやりたいことや、情熱を持って取り組みたいことです。転職の面接では、スキルや経験も注目されますが、応募者が本当にやりたいことが何かを問うシーンも多くあります。これが不明確のままだと、受け入れ企業側もどんな機会を提供できそうかわからず、それが故に長期的に活躍するのは難しいのではないかと判断することがあります。

転職は、当然ながら挑戦したい仕事や、変えたい環境、給与待遇の改善など様々な目的があってすることですが、WILLを明確にしておくと、選ぶべき職場や業界を的確に見極めることができ、長い目で見た時、満足感のあるキャリア選択につながります。WILLは、単なる願望ではなく、キャリアの軸となるものです。

WILLを洗い出すための具体的なプロセス

では、実際に自分のWILLをどのように見つけ出し、言語化すればいいのでしょうか。ここでは、とある男性を主人公にして、WILLを明確にするためのステップを紹介します。

28歳男性、IT商社の営業職→SaaSベンダーのカスタマーサクセスへ

  • ・Fさん
    ・年齢:28歳
  • ・家族構成:新婚で第一子を授かったばかり
  • ・職歴:大手IT商社で営業職として活躍
  • ・キャリアの悩み:営業成績は好調だが、会社の利益優先の営業スタイルに対して徐々に違和感を感じるように、、
ステップ1:過去の経験を振り返る(棚卸し)

WILLを洗い出すための第一歩は、過去の経験を振り返ることです。この28歳の男性は、大学卒業後、地元の経済を盛り上げられるような存在になれたらという軸を持って就職活動をスタート。様々な業界を調べましたが、これからの企業経営には欠かせなくなるであろうITソリューションに関心を持ちました。様々な企業を受ける中で、先輩社員の雰囲気の良さや多彩な製品を扱える大手IT商社を就職先に選びます。入社から実力を発揮し、社内でも評価されましたが、業務に慣れるにつれ、「お客様の課題を解決する」というよりも「自社の利益を優先する」ことに評価が傾いている状態に違和感を抱き始めます。

果たして彼は転職を視野に入れだしますが、ここで重要なのは、過去の経験の中の、どの瞬間に違和感と達成感を感じたのか?を洗い出すことです。

彼は、ここ数年で最も違和感を感じた瞬間と満足感を得た瞬間を洗い出しました。違和感を明確に認識したのは、月末最終日に部内の目標を達成するために馴染みのお客様に頭を下げて、とある購入いただいた時に受けた言葉でした。「本当はいらないんだけど、F君が困ってるから買うよ」おかげで部内は目標を達成し、大いに盛り上がりましたが、「お客様の課題を解決するのではなく、お客様に自分の課題を解決されてしまった」そんな思いから当時、上司からの褒め言葉が全く頭に入らなかったことを思い出しました。思い返すとそれまでもお客様の利益より、自社にとって利益率の高い製品を売ることを優先していた自分がいたことに気づきました。

また最近もっとも達成感を感じた瞬間も振り返ってみました。それは、お客様から「良い顧客管理ソフトがないか」と相談された時の経験でした。当時お客様の要望と予算を満たすものは自社の商材群にはありませんでしたが、お客様の課題はよく認識していたので、SaaSの顧客管理ソフト自分なりにリサーチして、これを使えば今の環境ともマッチすると思うと提案すると「このコストと操作性ならうちでも運用できるし、もともとあったデータも連携しやすいね。よくここまで調べてきてくれたね」と感謝の言葉をかけてもらえました。この瞬間、Fさんはこれまで感じたことのない達成感を感じていました。

このように過去の経験を洗い出すことでFさんは自分がもっていた違和感と達成感を明確にすることができました。

ステップ2:自分の価値観を整理する(WILLの言語化)

次に、自分が大切にしている価値観を明確にします。Fさんの場合、自分の根底にある価値観は「お客様の成功を支援すること」と「企業経営をITで支援し、地元経済に貢献すること」でした。IT商社に入社した動機も、成長産業を通じて日本経済に貢献したいという思いがあったためです。

このように、自分が仕事を通じて何を大事にしたいのか、何に喜びを感じるのかをリストアップすることで、WILLの輪郭が見えてきます。価値観を見直すことで、Fさんは今の仕事に対する違和感や、将来やりたいことをより明確にしていきました。

ステップ3:将来に向けたビジョンを描く(目標設定)

最後に、5年後、10年後に自分がどのような仕事をしていたいかを考えます。Fさんは、お客様の要望に応じたSaaSの顧客管理ソフトを提案した経験を通して、自分が求めていたのは「お客様の成功を支援する」仕事であると再確認しましたが、それに一番近いのは、顧客の課題に合わせて製品をブラッシュアップし、その継続利用を前提にした組織戦をとっているSaaSベンダーであると自分の道を決めました。また、その中心にあり顧客の課題に触れるカスタマーサクセスが自分の短期的に目指す道、ただ製品に精通し自分の過去経験を活かすには営業からのスタートが良いと仮定しました。そして、業界を調べるうちにサービスの方向性を決め、市場にあった製品作りを舵取りするPMMという存在を知り、これを10年後の目標に定めました。

このように、自分のWILLの輪郭に、それが実現できる状況を想定していくと、WILLはより明確になり、次のキャリアステップを考える指針ができます。

また、過去の経験や具体的な行動に裏打ちされた信念が元になっていますので、面接などで一貫性を持って自分のWILLを伝えることができます。

WILLを明確にした転職活動がもたらす効果

WILLを明確にした転職活動は、いくつかの重要な効果をもたらします。

1. 自己満足度が向上する

自分が本当にやりたいことに基づいた仕事を選ぶことで、仕事に対する満足度が大きく向上します。転職は人生の大きな決断ですが、WILLを意識して行動することで、長期的に充実感のあるキャリアを築くことが可能です。

2. 転職の成功確率が上がる

WILLが明確であれば、転職活動時の自己PRや志望動機も説得力が増します。面接官に対して一貫性のあるストーリーを語ることができ、企業側からも「この人は自分のキャリアに対して真剣に向き合っている」と評価されやすくなります。

3. 長期的なキャリアの安定

WILLに基づいたキャリア選択は、長期的に見ても安定した職業生活を送ることにつながります。単に条件や給与だけで選んだ場合、将来的に不満が生じやすいですが、WILLが土台にある転職は、自分の価値観に沿った働き方ができるため、長く満足感を持ち続けることができます。

WILLは定期的に見直そう

キャリアの中で経験を重ねるうちに、最初に描いたWILLや目標が変わることは珍しくありません。ライフステージや環境の変化によって、自分にとって何が大切かが変わるため、WILLも定期的に見直すべきです。長期的に満足度の高いキャリアを築くためには、変化に柔軟に対応する姿勢が重要です。

経験が増えることで変わるWILL

例えば、20代の頃に「挑戦的な仕事を通じて成長したい」というWILLを持っていた人が、30代になると「自分のスキルを活かして周囲や社会に貢献したい」という方向に目標が変わることがあります。さらに、40代では「自分の知識や経験を次世代に伝えたい」といった新たなWILLが生まれることもあります。

このように、時間が経つにつれてWILLは深化していくものです。転職活動やキャリア形成の中で「今の自分にとって本当に大切なこと」を定期的に問い直すことで、自分にとって最適な選択肢を見つけることができるでしょう。

見直しのタイミングを意識する

WILLを見直すのに適したタイミングは、キャリアの節目やライフステージの変化が訪れたときです。以下のようなタイミングで振り返りを行うことをお勧めします。

大きなプロジェクトが終了したとき
大きな成果を出した後は、自分の働き方ややりがいについて冷静に振り返る絶好の機会です。

昇進や役職変更のとき
責任や役割が変わることで、新しい視点からWILLを見直すことができます。

ライフイベントの節目
結婚、出産、子育てといったライフステージの変化も、WILLを再確認する重要なタイミングです。

WILLを見直すメリット

WILLを定期的に見直すことで、現在の自分がどの方向に進むべきかを明確にできます。また、自分の変化に気づくことで、より柔軟にキャリアを設計できるようになります。これにより、短期的な目標と長期的なビジョンを調整しながらキャリアを進めることができます。

まとめ

転職活動において、「WILL」を明確にすることは、メリットが多くあります。過去の経験や価値観を振り返り、未来のキャリアビジョンを描くことで、自分のWILLが明確になります。そして、WILLを具体的に言語化することで、転職活動をスムーズに進めることができ、長期的に満足感のあるキャリアを築くことができます。

自分の価値観や欲求をしっかり整理し、それを基にしたキャリア選択をしていきましょう。

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青山 俊彦

青山 俊彦カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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