リストラなの?PIP(業務改善計画)とは一体何か?

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外資系企業で聞かれる「PIP(Performance Improvement Plan/業務改善計画)」。リストラの前兆だとしてネガティブなイメージを持たれやすいようですが、実際は業務改善をサポートするための重要な計画です。PIPを通じて従業員のパフォーマンス向上が実現し、企業全体の成長が上がったケースもあります。本記事では、PIPの本来の目的とそのポジティブな側面、活用事例について解説します。

PIPとは?その意味と目的

PIP(Performance Improvement Plan)は、従業員が業務で期待される成果を達成できない場合に、改善を目指すための計画です。PIPの目的は、従業員のパフォーマンスを向上させ、企業全体の成功に繋げることです。具体的には、問題点を明確にし、達成すべき目標を設定。それに向けたアクションプランを提示する流れを取ります。
通常、PIPには以下の要素が含まれます。

  • 改善が必要な点の明確化
  • 具体的な改善目標の設定
  • 改善に向けたアクション
  • 進捗状況の定期的な確認とフィードバック
  • トレーニングやサポートの提供

PIPは、単なる業績の指摘ではなく、具体的な手段を提供することで従業員を支援し、改善に導くことを目的としています。特に成長の早い産業では、個人の成果が会社全体に大きな影響を与えるため、PIPは非常に重要な役割を果たします。

PIPはリストラではなく業務改善計画

しばしば、「PIP=リストラ」と混同されがちですが、その目的と性質は全く異なります。リストラは、企業の経済的な理由や再編に伴う人員削減を指しますが、PIPはあくまで従業員の業務改善を目指すことを目的にしています。
企業側としては、従業員がパフォーマンスを向上させ、組織に貢献し続けることを期待しています。スタートアップ企業のように少ないリソースで大きな成果を上げる必要がある場面では、PIPを通じて従業員に成長の機会を提供し、全体のパフォーマンスを底上げすることが目的です。

もちろん、PIPの結果として改善が見られない場合には、解雇の可能性もありますが、これは最終手段です。企業としても、優秀な人材が持つポテンシャルを引き出すためのサポートを最優先に考えています。

SaaS企業でも?PIPの具体イメージ

とあるSaaS企業では、営業チームの一員が業績目標を達成できずにいました。この場合、PIPが導入され、3か月間の具体的な改善計画が立てられました。計画には、以下の要素が含まれていました。

  • 週1回のフィードバックと目標設定の確認
  • トレーニングプログラムへの参加
  • 成功したメンバーとのメンタリングセッション
  • 進捗状況に基づく適時なKPIなどの見直し

このプロセスにより、当該メンバーは最終的に売上目標を達成し、チームに大きな貢献を果たしました。このように、PIPはSaaS業界のような成長産業においても、業務改善のため効果的な手段であることがやかります。

PIPの成功ポイント

PIPが効果的に機能する理由は、その「具体性」と「サポート体制」にあります。PIPは、単に従業員の業績を指摘するのではなく、具体的な改善手段を提供し、その進捗をモニタリングするための枠組みを設けます。これにより、従業員はどの点を改善すべきか明確に理解し、サポートを受けながら改善に向けて行動することができます。

効果的なPIPを実施するためには、以下のポイントが重要です。

  • 明確な目標設定:目標は具体的であり、測定可能である必要があります。たとえば、売上や顧客獲得件数といったKPIを設定し、その達成度をモニタリングすることが効果的です。
  • 定期的なフィードバック:定期的なチェックインやフィードバックセッションを行い、従業員が進捗を確認できる環境を整えることが重要です。
  • サポート体制の整備:必要なスキルを向上させるためのトレーニングやメンター制度を提供し、従業員が改善のためにリソースを利用できるようにします。
  • 従業員のモチベーション維持:従業員が成長できる機会としてPIPを受け入れ、自己改善に積極的に取り組む姿勢が求められます。

これらの要素が組み合わさることで、PIPは従業員の成長を促し、企業全体の成功に寄与します。

PIPを受けたときにすべきこと

PIPを宣告された際、多くの人が最初は不安を感じるかもしれません。しかし、PIPはリストラではなく、業務改善をサポートするための計画です。PIPはポジティブに捉え、成長の機会として活用することが重要です。

以下は、PIPを受けたときに心がけるべきポイントです。

  • フィードバックを積極的に受け入れる:改善点を学び、自分のパフォーマンス向上に向けて具体的なアクションを取る。
  • コミュニケーションを大切にする:上司やメンターと積極的に連絡を取り、必要なサポートを得る。
  • 短期目標を設定する:大きな目標を達成するために、短期的な目標を設定し、進捗を確認しながらモチベーションを維持する。
  • 自己成長の機会として活用する:PIPは新しいスキルを学び、自分のキャリアをさらに発展させるためのステップと考えることが大切です。

PIPを前向きに捉えることで、個人としても大きく成長し、結果的に企業への貢献度も高めることができます。

まとめ

PIP(業務改善計画)は、リストラとは異なり、従業員が期待される成果を達成するために設計されたサポートプログラムです。PIPが個々の従業員の成長をサポートし、チーム全体のパフォーマンス向上に大きく貢献している例もあります。従業員はPIPを自己改善の機会として捉え、ポジティブな姿勢で取り組むことで、結果的に企業全体の成功に寄与することができます。

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青山 俊彦

青山 俊彦カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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