人を支え、支えられながら挑んできた次世代インサイドセールスのマネジメント ── SmartHR遠座 伸一が歩むキャリアと組織づくり

smarthr-onza-01

複数の会社で経験を積み、一度はSaaSの世界を離れた遠座伸一さん。2022年にSmartHRへ入社してからの3年間は、プレイヤーとして成果を上げながら、周囲を支える存在として役割を広げてきました。
その積み重ねは自然とマネジメントへのキャリアへとつながり、現在では40名規模のチームを任される立場となっています。

今回は、遠座さんが歩んできたキャリアの選択、人と関わる中で大切にしてきた姿勢、そしてこれからの展望について伺いました。

多彩な営業経験を経て選んだ「SaaSに戻る」という選択

遠座:現在はSmartHRのミディアム・エンタープライズ事業本部で、従業員数501名から2,000名規模の企業を対象とするインサイドセールス組織の責任者を務めています。主な役割は有効商談の獲得となります。

遠座:2010年に大学を卒業し、新卒では住宅メーカーに入社しました。そこで約3年半、注文住宅の営業を経験。その後、バックオフィスSaaS企業へ転職し、営業としてプロダクトの成長期に携わりました。営業としての強みや自分なりの「型」を築けたのは、この2社での経験が大きかったと思います。

その後はWebソリューション企業に転職し、BtoB向けのWebコンテンツの保守運用やアップセル営業、さらにエンジニアと協業した開発ディレクションなどを担当しました。大手企業向けの提案力を磨けたのは、この会社での経験のおかげだと感じています。

遠座:お客様の課題に寄り添い、要望に沿った開発や運用を進めることができる前職の仕事には、やりがいを感じていました。ただ、自社サービスを育て、市場を広げていくようなダイナミックさという観点では、物足りなさも感じていたんです。

また、当時は30代半ば。「次が最後の転職になるかもしれない」と考えていました。過去のキャリアを真剣に振り返ってみると、一番自分が輝けていたのはSaaSプロダクトの営業時代。利用者が増え、組織が成長していく高揚感をもう一度味わいたいと思ったんです。

そこで、自社サービスの成長に直接貢献できる「攻めの営業」に挑戦し、自身のスキルをさらに磨きたいと考え、一度離れたSaaSの世界に戻る決意をしました。

SmartHRを選んだのは、この業界で最も成長し、輝いている存在だと感じたからです。「もし戻るならこの会社しかない」と思い、ほぼ一択でSmartHRを受けました。

遠座:そうです。最初の配属は、従業員2,001名以上の企業を担当する組織でした。当時のIS組織には確立された手法があまりなく、各メンバーがそれぞれのスキルで戦っている状況。成果を出す人は出すけれど、出ない人は出ない。そんなばらつきが大きかったように思います。

正直、最初は不安もありました。インサイドセールスという職種は、世間的に「テレアポ部隊」と混同されがちですが、私自身も当時はその違いをよく分かっていませんでした。ただ、お客様と電話でやり取りすることはこれまでも常にやってきたことでしたので、「経験の延長線上でできるかもしれない」という気持ちもありました。不安と自信が半々に入り混じった状態でのスタートでした。

ISとして手応えを掴んだ「グループ攻略」での成果

smarthr-onza-02

遠座:意外と早くて、入社して3〜4か月ほど経った頃ですね。最初は周りのやり方を見よう見まねで取り組んでいましたが、なかなかうまくいきませんでした。そこで、ベテランから若手まで周囲のメンバーに積極的に声をかけて学び、アンラーニングとラーニングを繰り返しながら、自分なりのやり方を磨いていったんです。

そうするうちに「フィールドセールスにどう貢献できるか?」という、ISの原則が自分の中にスッと入ってきました。これが大きな転機でしたね。

遠座:はい。とある大手企業グループへのSmartHR大幅展開に成功したときのことです。もともと親会社にはすでにSmartHRが導入されていましたが、傘下の子会社ではほとんど利用されていない状況でした。

そこで、親会社での事例や活用方法をフィールドセールスやカスタマーサクセスと一緒に整理し、それを子会社への提案に活かしました。ローラーでのアプローチを重ね、相談の機会を数多く得られた結果、導入が進み、最終的にはグループ全体への利用拡大につながったんです。

この取り組みは、セールスが欲しい情報とインサイドセールスが持っている情報を細かくすり合わせながら進めたもので、互いに連携してSmartHRのファンを増やすことができました。私自身にとってターニングポイントとなった事例であり、当時のチームにとってもエポックメイキングな出来事だったと思います。その後も「大手グループ攻略」の重要性はますます高まり、今も続く取り組みにつながっています。

成長痛の真っ只中。マネージャーとして広がったキャリア

遠座:戸惑いはなく、自然に受け止められました。当時は新しい仲間が次々と増えていて、組織を強化するためにマネジメント層を増やす必要がありましたし、それまでに取り組んできたフィールドセールスやマーケティングとの協業体制づくりや成果創出の動きが評価いただけたのだと思います。

遠座:大きく3つあります。1つ目は事業戦略の立案。半年先ではなく、1年、2年を見据えた動きを意識しています。2つ目は採用を含めた組織づくり。高い目標を達成するには新しい仲間と強い組織が不可欠なので、採用と同時にチーフやメンバーの意識統一にも力を入れています。3つ目はKPI達成の実行支援。メンバーの中間指標を細かくモニタリングし、先回りで打ち手を考えるようにしています。

遠座:大変です(笑)。良い意味で、汗をかきながら頑張っています。チーフ時代の責任範囲は5〜10人ほどでしたが、今は40人規模。その成果がその先の30人規模のフィールドセールスに直結するので、自分の活動や行動の影響はかなり大きいです。周囲を頼りながら進めていますが、日々課題も増えていて、まだまだ自分もパワーアップしないといけないなと日々痛感しています。例えるなら「成長痛」の真っ最中という感じですね。

個を大切に。「人を見て、人を知る」マネジメント

smarthr-onza-03

遠座:メンバーのスキルを引き上げることです。今のチームは半分が入社1年前後のメンバー。SmartHRのインサイドセールス組織がさらに強くなるためには、経験の浅いメンバーをミドルへ、ミドルをハイへ、そしてハイクラスは次世代リーダーへと引き上げていく必要があります。組織の中央値を上げ、全体の基準を底上げすることに一番注力しています。

遠座:2つあります。1つは、細かな所作や表情を観察すること。どんな時に嬉しそうか、悲しそうかを敏感に捉え、その人に合った伝え方を選ぶようにしています。もう1つは、自分から「知りに行く」こと。調子や最近の出来事をオープンクエスチョンで聞き続けることで、その時々の変化をキャッチしやすくしています。ただ、それに答えてもらうには私自身が自己開示することが前提。自分の価値観や苦手なことを普段から伝えておくことで、相手も安心して相談できる関係を意識的につくっています。

遠座:ありがとうございます。実際どう受け取られているかはわかりませんが、一緒に働く人には楽しく仕事をしてほしいし、人生も楽しく過ごしてほしいと思っています。自分はこれまで多くの人に助けられてきたので、それを今度は周りに返したい。メンバーには「当時の経験があったから今がある」と思ってもらえたら嬉しいですね。

遠座:やはりメンバーの成長ですね。できなかったことができるようになったり、大人しかった人が成果を出して前に立つようになったり、その人が組織の中心人物として頼られるようになったり。そんな姿を見ると本当にテンションが上がります。

3年で変わったインサイドセールス観

smarthr-onza-04

遠座:入社当時は社内での立ち位置も今とは違っていましたし、競合環境もそこまでシビアではありませんでした。でも今は求められるレベルが格段に上がっています。個人の営業力だけでなく、組織として勝ち抜くための環境づくりが重要になってきました。サービスもマルチプロダクト化して複雑性が増しており、より高いスキルやマインドセットが必要になっています。

また、インサイドセールスは「周囲の期待に応えていく組織」だと考えています。商談の質が基準を満たさなければ、一瞬で信頼を失ってしまう。だからこそ、組織に対してもお客様に対しても期待以上の成果を出す意識と行動が欠かせません。

例えばお客様の発する小さな言葉のひとつ、どんな些細な変化でもフィールドセールスに情報連携する。フィールドセールスが欲しい情報を細かく収集する。失注してしまったとしたら何が原因だったのかを組織を横断して分析する。初期商談に同席することだってあります。

入社当初は「テレアポと混同されがちな仕事」という認識でしたが、今では戦略性やプロジェクトマネジメント、セールスなど多彩な能力を求められる、とてもクリエイティブで、多面的な力を試される仕事だと感じています。

40代を目前に描くこれからの展望と、未来の仲間へのメッセージ

smarthr-onza-05

遠座:色々な職種に挑戦したいというより、どんな状況でも「遠座なら安心だ」と思ってもらえる存在になりたいと思っています。例えば、組織の立て直しや改善を即座に提示できる人。ちょうど社内で私が尊敬している方がそういう方なんです。今後はマネジメント経験をさらに積むことで、変化に対応できる知識や引き出しを増やしていきたいと思っています。

自分はこれまで人に育ててもらった分、これからは人を支え、支えられながら、一緒に働く人の可能性を広げていきたいですね。

遠座:SmartHRには本当に多様なバックグラウンドを持った人が集まっています。ビジネス戦闘力の高い人はもちろん、Salesforceなどのシステムに詳しい人、お笑い芸人出身で場を盛り上げる人、外国人や元料理人だっている。そんな多彩な人が集まっているからこそですが、年齢や経験に関係なくすぐに溶け込めるフラットなカルチャーがあって、悩みを共有できる心理的安全性もあります。そういう仲間と刺激し合えるのが、SmartHRの最大の魅力だと思います。

これから入る方に伝えたいのは、「自分らしさを持ち込んでほしい」ということです。経験やスキルはもちろん大事ですが、それ以上に一人ひとりの個性や価値観がチームを豊かにしてくれる。私自身もたくさんの仲間に支えられてきたので、今度は新しく加わる方を全力で支えたいと思っています。一緒に成長しながら、SmartHRをもっと面白い場所にしていきましょう。

smarthr-onza-06

◼︎プロフィール
遠座 伸一(おんざ しんいち)
2010年に大学を卒業後、住宅メーカーに入社し、注文住宅の営業を3年半経験。その後、バックオフィスSaaS企業に転職し、プロダクトの成長期に貢献。その後、BtoB向けのウェブコンテンツの保守運用やアップセル営業、開発ディレクションなどを担当した後、2022年7月にSmartHRへ入社。インサイドセールスとして関連部署と連携しながら組織の成長に貢献し、2024年1月よりミディアム・エンタープライズ事業本部のISマネージャーを務める。

あわせて読みたい
「自分だけのゴール」から「チームの勝利」へ。SmartHR村上琢哉が見出した組織を導く喜び

青山 俊彦

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

関連記事