カスタマーサポートやテクニカルサポートが覚えておきたいSQLについて

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カスタマーサポートやテクニカルサポートの業務では、顧客情報やサポート履歴、さらにはログデータなどの情報を正確かつ迅速に扱うことが求められます。そのためには、SQLやKQLといったクエリ言語の基本的な知識があると業務が格段に効率化されます。この記事では、それぞれの特徴や活用法について具体的に紹介します。

SQLとは?業務データに強いクエリ言語

SQL(Structured Query Language)は、リレーショナルデータベースの情報を検索・追加・更新・削除するための標準的な言語です。

たとえば、サポートチームが「顧客IDが12345の顧客の情報を調べたい」と思ったときには、customersテーブルからcustomer_idが12345のレコードを取得するクエリを使います。また、「support_ticketsテーブルから、ステータスがopenのチケットの件数を数える」といった形で、問い合わせ件数を把握する用途にも役立ちます。

SQLを使えば、サポート履歴の照会、対応中のチケットの一覧取得、問い合わせ件数の集計などが容易になります。さらに、データの更新や削除も可能なため、記録の修正や整理も効率的に行うことができます。

KQLとは?ログ解析に特化したクエリ言語

KQL(Kusto Query Language)は、Microsoftが2018年に公開したログ分析専用のクエリ言語です。Azure MonitorやLog Analytics、Application Insights、Microsoft SentinelといったAzureサービスで広く使われています。

KQLはSQLに似た構文を持ちますが、「読み取り専用」であり、ログデータや時系列データの分析に特化しています。たとえば、システムログから「エラーレベルがErrorのログを1時間ごとに集計する」場合には、summarize count() by bin(timestamp, 1h), Level のように書きます。また、「CustomerIdが12345のログを10件だけ抽出する」といったケースでは where CustomerId == 12345 | take 10 という形になります。

KQLでは処理をパイプ記号(|)でつなげるため、クエリがステップごとに分かりやすく、ログを視覚的に追いやすいのが特徴です。これにより、障害調査やトラブルシューティングが迅速に行えるようになります。

SQLとKQLの違いと使い分け

SQLとKQLは、似て非なる目的を持つクエリ言語です。

SQLは、MySQL、PostgreSQL、Oracleなどのリレーショナルデータベースで使用され、顧客情報や業務データなど構造化されたデータの読み書き・管理に適しています。データの追加や更新、削除も可能です。

一方、KQLはAzure上でのログやテレメトリデータの分析に用いられ、基本的に読み取り専用です。システムログやイベントログといった非構造化・時系列データの可視化やパターン分析に特化しており、リアルタイムモニタリングや障害対応に強みを発揮します。

たとえば、SQLで「1週間の問い合わせ件数」を集計する場合は SELECT COUNT(*) FROM support_tickets WHERE created_at >= CURRENT_DATE - INTERVAL '7 days' のようになりますが、同様の内容をKQLで書くと support_tickets | where created_at >= ago(7d) | count となります。構文や処理のアプローチが異なることがわかります。

業務データの管理にはSQL、障害の早期発見や原因分析にはKQLと、目的に応じて使い分けることが重要です。

カスタマーサポートでのSQL活用例

カスタマーサポートでは、SQLを使って日々の問い合わせデータを可視化し、業務レポートを作成することが一般的です。

たとえば、過去7日間の問い合わせ件数を調べるには、support_ticketsテーブルからcreated_atが直近7日以内の件数をカウントするクエリを実行します。また、現在対応中の案件を把握したい場合には、statusがin_progressのチケットを一覧表示するクエリで、チームの作業状況を確認できます。

これにより、サポート業務の全体像を俯瞰しやすくなり、リソース配分や対応方針の見直しにも役立ちます。

カスタマーサポートでのKQL活用例

KQLはログデータの分析に特化しているため、障害対応や問題の傾向分析に大きな力を発揮します。

たとえば、アプリケーションログにおいて、エラーコード500の発生時間を1時間ごとに集計するには、where StatusCode == 500 | summarize count() by bin(timestamp, 1h) のようなクエリを使います。これにより、エラーの発生傾向やピーク時間帯を可視化できます。

また、「特定のユーザーIDに関連するログを10件だけ表示する」といった操作を通じて、個別の不具合状況も迅速に把握可能です。これにより、ユーザーからの問い合わせに対して具体的かつ的確なフィードバックを行えるようになります。

まとめ

この記事では、SQLとKQLという2つのクエリ言語の特徴と、カスタマーサポート業務での具体的な活用方法について解説しました。

SQLは業務データや顧客情報の管理に強く、KQLはログや時系列データの読み取り・分析に優れています。どちらもサポート業務において重要な役割を担っており、目的やシーンに応じて適切に使い分けることが、よりスムーズで精度の高い対応につながります。

今後、データに基づいたサポートの重要性が増す中で、SQLとKQLの基本を押さえておくことは、日々の業務改善やキャリアアップにもつながるはずです。

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青山 俊彦

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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