共感力で導くエンパスティブ・リーダーシップとは

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急速に変化する現代のビジネス環境では、指示命令型のリーダーシップでは限界があります。そこで注目されているのが「エンパスティブ・リーダーシップ」です。共感力を軸にしたこのマネジメントスタイルは、メンバーの感情や動機を理解し、内発的なやる気を引き出すことで、組織全体の力を最大化することを目指します。本記事ではその意義と実践方法について解説します。

エンパスティブ・リーダーシップとは何か

エンパスティブ・リーダーシップとは、共感力を中核に据えたマネジメントスタイルです。ただ単に相手の話を聞いたり、優しく接するということではなく、部下や同僚の感情、思考、動機を理解しようと努める姿勢を指します。その理解をベースに、個々の成長を支援し、組織としてのパフォーマンスを高めることを目的としています。

このスタイルの特徴は、「人を動かす」のではなく、「人が動きたくなる環境を整える」点にあります。指示や管理によって行動を促す従来のリーダーシップと異なり、内面にある動機を引き出し、自律的な行動を促すのがエンパスティブ・リーダーの役割です。

特に、リモートワークの浸透や多様な価値観が混在する職場環境では、メンバー一人ひとりに対する理解の深さが信頼関係を築く鍵となり、組織の一体感や生産性を左右します。

共感力が今のビジネスに求められる理由

現代のビジネス環境は、変化のスピードがかつてないほど早く、組織における柔軟な対応力が不可欠になっています。これに伴い、従業員一人ひとりの創造性や自律性が企業の競争力に直結するようになりました。こうした中で注目されているのが、共感力を備えたリーダーです。

共感力は、単に「優しさ」や「人当たりの良さ」とは異なります。それは、他者の立場に立ち、その思いや背景にある価値観を理解しようとする力です。この力を持つことで、リーダーはメンバーの本音に触れることができ、信頼関係の構築や、組織内の心理的安全性を高めることができます。

さらに、共感力は問題解決の場面でも大いに役立ちます。メンバーが何に悩み、何に価値を感じているのかを把握できれば、その人に最も適した支援や課題のアサインが可能になります。こうした積み重ねが、組織全体の力を底上げしていくのです。

内発的動機を引き出すマネジメントの要点

エンパスティブ・リーダーシップにおいて重要なのは、メンバーの「内発的動機」をいかに引き出すかという点です。外発的動機(報酬や評価)に頼ったマネジメントでは、短期的には効果があっても、長期的なエンゲージメントにはつながりません。

内発的動機とは、自らの興味や意欲から生まれる「やりたい」「達成したい」といった気持ちです。これを高めるには、まず本人がどのような価値観や目標を持っているかを知る必要があります。

そのために有効なのが、定期的な1on1ミーティングやフィードバック面談です。そこで、「この仕事に何を感じているのか」「どんな時にやりがいを感じるのか」といった質問を投げかけることが効果的です。また、成果に対する具体的なフィードバックや、努力を承認する声かけも、内発的動機を刺激する要素となります。

メンバーが自分の仕事に意味を見出し、主体的に動けるようになれば、チーム全体の自律性と生産性は飛躍的に向上します。

実践するための共感ベースのコミュニケーション

エンパスティブ・リーダーシップを実際のマネジメントに落とし込むためには、日常的なコミュニケーションが非常に重要です。以下のポイントを意識することで、共感力を実践に移すことができます。

・傾聴を徹底する
・感情の変化に敏感になる
・共感の言葉を伝える
・オープンクエスチョンを活用する

これらのコミュニケーションは、すぐに成果が見えるわけではありません。しかし、継続的に実践することで、確実に信頼関係が育まれ、強い組織基盤が作られていきます。

エンパスティブなリーダーが持つ5つの特徴

共感力をベースにしたリーダーは、以下のような特徴を備えています。

・自己認識が高い
・相手の立場に立てる柔軟性がある
・信頼関係の構築に時間をかける
・感情に配慮した判断ができる
・他者の成長を喜びに感じる

このようなリーダーは、時代や業界を問わず、どの組織においても強く求められています。

まとめ

本記事では、共感力を軸としたエンパスティブ・リーダーシップについて解説しました。内発的動機を引き出し、メンバーとの信頼関係を築くこのスタイルは、現代の多様で変化の激しい職場環境において大きな力を発揮します。感情に寄り添うマネジメントが、個々の力を引き出し、組織全体の成長を加速させる時代が来ているのです。

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青山 俊彦

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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