SaaSの成長を支えるリテンションマーケティングとは?施策と事例を解説

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SaaSビジネスにおいて、顧客の継続利用を促す「リテンションマーケティング」は、事業の安定成長に欠かせない取り組みです。新規顧客の獲得が注目されがちですが、既存顧客の維持はLTVの最大化に直結し、収益性を大きく左右します。

本記事では、リテンションマーケティングの基本的な考え方から、具体的な施策、国内企業の事例まで、SaaS業界で成果を上げるための実践的な知識をお届けします。

リテンションマーケティングとは何か

リテンションマーケティングとは、既存顧客との関係性を維持・強化し、継続利用や再購入、さらにはロイヤルカスタマー化を促進するためのマーケティング施策です。SaaSビジネスにおいては、サブスクリプションモデルが主流のため、一度契約した顧客との長期的な関係が売上の安定化に不可欠です。

リテンション施策は、顧客の満足度を高め、サービス利用を習慣化させることを目的としています。また、解約(チャーン)を防ぎ、顧客一人あたりの収益を最大化することで、企業全体の成長にも寄与します。

SaaS企業におけるリテンションの重要性

SaaSにおける収益モデルは、契約期間にわたる継続課金が基本であり、顧客が使い続ける限り収益が積み上がります。そのため、リテンション率の高さが企業のARR(年間経常収益)に大きく影響します。

Bain & Companyの調査によれば、新規顧客の獲得は既存顧客の維持に比べて5倍〜25倍ものコストがかかるとも言われています。つまり、リテンションを高めることは、限られた予算の中で効率的に利益を伸ばす戦略ともいえるのです。

また、既存顧客の満足度向上は口コミや紹介にもつながり、間接的に新規獲得にも寄与します。

リテンションを高める主要なマーケティング施策

リテンション向上のためには、顧客のフェーズに応じた多面的なアプローチが必要です。以下に主な施策を紹介します。

・オンボーディングの最適化
導入初期のタイミングで適切なガイダンスやサポートを行い、顧客がスムーズにサービスを活用できるよう支援します。

・カスタマーサクセスとの連携
顧客ごとに異なる課題や目的に合わせて支援し、成果の最大化をサポートすることで、継続利用を促します。

・プロダクト内コミュニケーション
インアプリメッセージやプッシュ通知などでタイムリーに価値訴求を行い、顧客の利用頻度を維持・向上させます。

・エンゲージメント指標の可視化と活用
ログイン頻度や機能の使用状況をモニタリングし、離脱の兆候を検知して早期に対策を打ちます。

・アップセル・クロスセルの設計
顧客の成長段階に応じた提案を行い、単価向上と満足度の両立を図ります。

国内企業のリテンションマーケティング成功事例

実際にリテンションマーケティングで成果を上げている国内SaaS企業の事例を紹介します。

・Faber Company
Faber Companyは、自社SaaS「ミエルカ」のユーザー会を年に数回開催し、ユーザー同士の交流や情報共有を促進しています。2024年には「LEAP」というテーマでイベントを開催し、ナレッジシェアやコミュニティ形成に注力。これによりプロダクトに対する理解と愛着を高め、LTV向上に寄与しています。

・SmartHR
SmartHRは、初期オンボーディング施策に力を入れています。特に導入から3カ月以内の定着支援に注力し、活用サポートやデータ移行支援をパッケージ化。結果として、導入企業のチャーン率を大幅に低下させることに成功しています。

リテンション視点がキャリアに与える影響

リテンションマーケティングはマーケティング部門やカスタマーサクセス部門に限らず、営業、プロダクト、経営層を巻き込んだ全社的なテーマです。そのため、リテンションに関する知識や施策設計の経験は、SaaS企業において高く評価されるスキルセットです。

特に転職市場では、「解約率を改善した」「LTVを最大化した」といった定量的な成果がある経験は、非常に説得力があります。SaaS業界でのキャリアを考えるうえで、リテンション視点を持つことは大きな武器になるでしょう。

まとめ

SaaSビジネスにおいて、リテンションマーケティングはLTV最大化と事業の安定成長に欠かせない戦略です。オンボーディングやプロダクト内施策、顧客ごとのデータ活用など、多面的な取り組みが求められます。成功事例からも分かるように、リテンションは成果に直結する取り組みであり、SaaS業界でのキャリアアップにも有効な視点です。

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SaaSマーケティングの未来を切り開くカスタマージャーニー設計

青山 俊彦

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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