
SaaSビジネスにおいて、価格設定は収益最大化の重要な要素です。その中でも「バリューベースプライシング」は、顧客が感じる価値に応じて価格を決める戦略であり、多くのSaaS企業が採用しています。
本記事では、バリューベースプライシングの概要、SaaS企業の具体的な実践例、導入のポイントについて詳しく解説します。適切な価格戦略を取り入れることで、単価アップやLTV(顧客生涯価値)の向上が期待できます。
バリューベースプライシングとは?SaaSとの相性
バリューベースプライシング(Value-Based Pricing)とは、「コスト+マージン」で価格を決めるのではなく、顧客が得る価値に基づいて価格を決定する手法です。SaaSビジネスはサブスクリプションモデルを採用することが多く、顧客の成長とともに収益がスケールするため、バリューベースプライシングとの相性が非常に良いようです。
よく見られるバリューベースプライシングの例
- ・機能単位の課金(例:Zoom):参加人数や録画時間に応じて価格を設定
- ・成果報酬型の課金(例:Stripe、Shopify):取引額や売上に応じて手数料を徴収
- ・使用量ベースの課金(例:AWS):実際に使用したリソース量に応じて課金
このように、顧客が価値を感じるポイントに価格を紐づけることで、顧客満足度を維持しながら単価アップを実現できるのが特徴です。
バリューベースプライシング実践例
HubSpot:ユーザー数ベースの価格設定
HubSpotは、マーケティング、セールス、カスタマーサポート向けのCRMツールを提供しています。基本プランは月額固定料金で提供され、その上でユーザー数(シート数)の増加に伴い追加料金が発生する仕組みになっています。これにより、顧客の成長と連動してHubSpotの収益が拡大するモデルですが、実際には連絡先数や利用機能など複数の要素が組み合わされる場合もあります。
Snowflake:従量課金モデルによる柔軟性
Snowflakeはクラウドデータウェアハウスサービスを展開し、利用したデータ量やコンピュートリソースに基づいた従量課金モデルを採用しています。この仕組みは、初期投資の負担を抑えつつ、利用が増えるほどに料金が変動するため、企業ごとの利用状況に合わせた柔軟な価格設定が可能です。
バリューベースプライシングの導入ポイント

企業がバリューベースプライシングを導入する際には、以下のポイントを押さえることが重要です。
- ・顧客が「何に価値を感じているのか?」を徹底分析
- ・ユーザーインタビューやデータ分析を活用し、顧客の成功要因を特定
- ・価格が「顧客の成功」に紐づいているか?
- ・価格設定がROIベースで説明できるかを確認
- ・無料トライアルやフリーミアムモデルと組み合わせる
- ・初期のハードルを下げつつ、価値を実感してもらい価格に納得感を持たせる
バリューベースプライシングのメリットと課題
メリット
- ・収益の最大化
- ・顧客満足度の向上(価値に見合った価格設定)
- ・競争優位性の確保(価格競争に巻き込まれにくい)
課題
- ・顧客の価値判断が曖昧な場合、価格が適正に設定できない
- ・市場ごとに価格の最適化が必要で、調整コストがかかる
まとめ
バリューベースプライシングは、SaaSビジネスの成長に不可欠な戦略です。顧客の成功と価格を連動させることで、単価アップやLTV向上が実現できます。HubSpot、Snowflakeのような企業の事例を参考に、自社サービスに最適な価格モデルを構築しましょう。適切な価格戦略を導入し、持続的な成長を目指してください。