「コンサル力」と聞くと、戦略コンサルティングファームや総合コンサル企業を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし近年、SaaS業界でもこの「コンサル的スキル」が注目されています。ソリューション営業やカスタマーサクセス、BizDevといった職種を通じて、実践的に課題解決力を磨ける環境が整いつつあります。本記事では、SaaS業界におけるコンサル力の正体と、それをどのようにして身につけるかについて解説します。
コンサル力とは何か?今、なぜ注目されているのか
まずは「コンサル力」という言葉の意味を整理しましょう。一般にコンサル力とは、課題を設定し、仮説を立て、論理的に整理しながら解決策を提案・実行する一連のスキルを指します。具体的には、課題設定力、仮説思考、構造化力、提案力、プロセス設計力などが含まれます。
このスキルが注目されている理由は、業種を問わず「顧客の課題を解決する力」がビジネスの成否を分ける時代になっているためです。プロダクトアウトではなく、マーケットインの発想が求められる今、誰もが「小さなコンサルタント」的な動きを期待されるようになっています。
SaaS業界にある「コンサル的な仕事」の現場
SaaS業界では、コンサル的な動きが求められる職種が多く存在します。代表的なのがソリューション営業です。単なるプロダクトの紹介ではなく、顧客の業務課題をヒアリングし、改善提案を行う必要があります。
次に挙げられるのがカスタマーサクセスマネージャー(CSM)です。契約後のサポートにとどまらず、業務効率化や組織課題の解決まで踏み込んで支援する役割は、まさにコンサルタントに近い動きといえます。
さらに、BizDev(ビジネスデベロップメント)という職種では、企業提携や新規事業の設計を通じて戦略的な動きが求められます。こうした職種のなかで、実践的なコンサルスキルを培える機会が増えてきています。
コンサル力を磨けるSaaS企業の特徴とは?

すべてのSaaS企業でコンサル力が身につくわけではありません。磨きやすい環境にはいくつかの特徴があります。
・Vertical SaaS(業界特化型SaaS):医療、建設、不動産など、業界ごとの課題に深く関わることで、その業界に精通したコンサル的視点が養われやすくなります
・セールスイネーブルメント体制の整備:営業支援や教育の仕組みがしっかりしていることで、課題発見力や提案スキルの向上が期待できます
・PLG(プロダクト・レッド・グロース)型企業:プロダクトを通じて価値を伝えるには、顧客課題の理解と構造的な把握が不可欠です
これらの要素が組み合わさることで、コンサル的スキルを高めやすい環境が形成されます。
SaaS業界で実際に身につくコンサルスキル
SaaS業界で働く中で、次のようなスキルが実践を通じて養われていきます。
・課題設定力:顧客の業務を観察・ヒアリングし、真のボトルネックを見つけ出す力
・業務プロセス理解:顧客企業の日常業務を構造的に理解し、最適化ポイントを特定する力
・バリュープロポジション設計:顧客にとっての価値を明確にし、それを提案に反映する力
・提案資料作成力/ストーリーテリング力:顧客を納得させるプレゼンテーションや資料の構成力
これらは、コンサルティングファームでも求められるスキルと共通しており、汎用性の高いビジネススキルとして次のキャリアにも応用できる可能性があります。
SaaS経験は次のキャリアにも活きる可能性がある
SaaS業界で培った経験は、その後のキャリアにおいても一定の強みとなり得ます。たとえば、コンサルファームへの転職に成功している人も一部に見られます。ソリューション営業やCSMの経験を通じて、課題設定力や提案力を実践的に磨いたことが背景にあるようです。
また、事業会社のBizDevやプロダクトマネージャーといった職種を志す際にも、SaaS業界での経験が評価される場面があります。とくにスタートアップでは、顧客視点に立てる人材や、現場理解に長けた人が戦略立案に関与することが増えています。
必ずしも全員が転職しやすいとは限りませんが、SaaS業界で得られるスキルや経験が、次のステップへの選択肢を広げてくれる可能性は十分にあります。
まとめ
SaaS業界には、顧客の課題を発見し、解決に導く「コンサル的スキル」を実践的に学べる環境が整いつつあります。とくにソリューション営業やCSM、BizDevなどの職種では、実務を通じて課題解決力や提案力を磨くことが可能です。こうした経験は、将来的にコンサルティングや事業戦略といったキャリアにも活かされる場面が期待されます。
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