シリーズAで約300億円調達!Sakana AIってどんな会社?

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2024年9月17日、AIスタートアップの「Sakana AI」は約300億円のシリーズA資金調達を発表しました。AI技術を使って研究プロセスの自動化を目指す同社は、科学技術の分野に革新をもたらそうとしています。この記事では、Sakana AIの技術、投資家構成、そして今後の展望について詳しく解説します。

Sakana AIの革新的技術とビジョン

Sakana AIは、GoogleのAI研究者、David Ha氏とLlion Jones氏が日本に移り住み、立ち上げたAIスタートアップで、これまでとは異なるアプローチで最先端のAI基盤モデル開発に取り組んでいます。具体的には今年8月に「研究開発プロセスそのものを自動化する」という革新的な技術を開発。これを「AIサイエンティスト」と命名しています。

AIサイエンティストは、Sakana AIが開発した革新的なAIシステムで、科学研究のプロセスを自動化することができます。このシステムは、アイデアの創出から実験の実行、論文の執筆、さらにはピアレビューまでを自動的に行います。

AIサイエンティストの主な特徴

完全自動化:最初の設定以外は人間の介入なしで研究を進めてくれます。
低コスト:1つの研究論文を約15ドル(約2,300円)で生成してくれます。
多様な研究分野:言語モデル、拡散モデルなど、機械学習の様々な分野で研究を行います。

AIサイエンティストの実行プロセス

ブレインストーミング:与えられたトピックについて新しいアイデアを創出。
実験:提案されたアイデアに基づいて実験を行い、結果を視覚化。
論文執筆:実験結果をもとに、学術会議のスタイルに沿った論文を執筆。
自動査読:別のAIが論文を査読し、フィードバック。

実際に幾つかの研究論文を出力したそうすが、AIが自律的に研究を行い、人間の介入ゼロで論文にまとめるこの技術、純粋にすごいと感じました。今後、科学の進歩を加速させ、社会課題の解決を進める可能性を秘めています。

シリーズAで驚きの約300億円調達

2024年9月17日には約300億円のシリーズA資金調達が同社より発表されました。この調達には、NEAやNVIDIAなどのグローバル企業に加え、三菱UFJや三井住友銀行、NEC、KDDIといった日本の大手企業が参加しています。この資金調達は、技術開発の加速と市場拡大に向けた大きなステップとなっています。まだ製品もプロトタイプのような状態での大型調達、世界中の企業がSakana AIの可能性に期待を寄せていることがわかります。
投資をした第一生命の発表資料

Sakana AIの今後。どんな領域で活躍しそうか?

Sakana AIは生物の模倣に基づいたAIモデルを構想/開発しているようです。これだけ見るとなんだかわかりづらいですが、魚の群れが海の中で集団行動をしているシーンをイメージしてみるとわかりやすいかもしれません。例えばマイワシは天敵から身を守るために集団になって自分たちを多く見せて追い払ったり、運悪く恐れても単体では生き残れなくても全体では生き残るような行動をします。Sakana AIはこのような自然界のシステムをイメージし、複数のAIが互いを補完しあうようなモデル作りを基本にしてるようです。発想がとてもユニークで面白いですね。

このような基礎概念があるので、もしかしたら自然領域の社会課題解決などにその技術は生かされていくのかもしれません。生態系のモニタリングシステムや食物の収穫量システム、エネルギー需要の予測システムなどできたらおもしろそうですね。

また、同社は上記のAIサイエンティスト以外にも様々なAIモデルを発表しており、本記事執筆の2ヶ月前、2024年7月には浮世絵風画像の生成AIや浮世絵のカラー化AIなども発表しています。今後どんなジャンルでAIモデルを発表してくるのか楽しみです。以下、同社のXの投稿です。

まとめ

Sakana AIは、AI技術を駆使して研究プロセスを自動化する技術を開発するなど多彩な技術を生み出しているスタートアップです。2024年9月に約300億円の資金調達を成功させ、日本企業との連携を深めつつグローバル展開を見据えています。同社の「AIサイエンティスト」技術は、研究の効率化と進化に大きな影響を与えるものであり、今後の技術発展に期待が集まります。

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青山 俊彦

青山 俊彦カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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