スタートアップを転職先に選ぶ時に知っておきたいバーンレートとランウェイ

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スタートアップ企業に転職を考える際、企業の成長や持続性を見極めるためには、バーンレートやランウェイといった財務指標が重要です。特に、日本のスタートアップの成功率は3〜5%と低く、SaaS企業も例外ではありません。多くのスタートアップは数年以内にキャッシュが尽きてしまい、持続的な成長が難しくなることがよくあります。本記事では、SaaS業界で転職を検討する際に知っておくべきこれらの指標について解説し、企業選びの際の確認ポイントを詳しく説明します。

バーンレートとは?スタートアップの成長に欠かせない指標

バーンレート(Burn Rate)は、スタートアップが月間で消費するキャッシュの金額を指し、企業の資金管理において重要な指標です。日本のSaaSスタートアップでも、成長を加速させるために積極的な投資を行う企業が多く、バーンレートが高いことが特徴の一つです。特に、早期の成長を目指す企業では、マーケティングや開発に多くの資金を投じることが多いため、資金消費のペースが速くなります。

しかし、バーンレートが高いからといって必ずしもリスクが高いわけではありません。重要なのは、企業がその投資によって成長を実現し、次の資金調達や収益化に繋がる計画を持っているかどうかです。スタートアップに転職する際には、このバーンレートが成長戦略と合致しているかを見極めることが重要です。

ランウェイが示す企業の「持続力」とは

ランウェイ(Runway)は、現在のバーンレートを基に、企業がどれだけの期間運営を続けられるかを示す指標です。ランウェイが短い企業は、早期に次の資金調達を行わないと事業継続が難しくなる可能性があります。一方、ランウェイが長い企業は、持続的に事業を展開する余裕があります。

特にSaaS企業では、プロダクトの開発に時間がかかり、収益化までの期間が長いため、ランウェイがどのくらい確保されているかが重要な判断材料になります。転職の際には、企業がどれくらいの資金を保持していて、現在の事業規模をどのくらいの期間維持できるのかを確認することが、安定した転職を実現するためのポイントとなります。

資金調達ラウンドとキャッシュ体力の見極め方

スタートアップの資金状況を知るために、資金調達ラウンドを確認することは非常に有効です。企業がどの資金調達フェーズにあるかによって、今後の事業展開や資金の持続力を推測することができます。一般的に、以下のフェーズに分けられます。

  • シードラウンド:事業の基盤づくりを目的とした初期段階。資金調達額は小規模です。
  • シリーズAラウンド:製品の市場投入を目指すフェーズ。より大規模な資金調達が行われます。
  • シリーズB・Cラウンド:既にある程度の成長が見込める企業が、さらなる拡大を図る段階です。

これらのラウンドによって、企業がどのフェーズにあり、今後どのような成長を目指しているかが明確になります。また、資金調達を行った時期や規模を確認することで、その企業がどれだけのキャッシュ体力を持っているのかも把握できます。スタートアップの多くは複数回にわたって資金調達を行うため、次のラウンドがいつ予定されているかを確認することも重要です。

参照
スタートアップ企業を選ぶ時に知っておきたい調達ラウンドについて

面接・内定後に確認したいポイント

スタートアップ企業が財務状況を転職面接の段階で詳しく説明するケースは意外と少ないようです。然しながら、内定後は比較的情報を聞きやすい状態になります。オファー面談、あるいは追加面談を依頼し、より具体的な質問をすることで自身の気持ちや役割を可視化することもできます。以下のような質問を通して、企業のキャッシュフローや将来計画を確認することをお勧めします。

  • 「直近の資金調達はいつでしたか?その規模はどれくらいでしたか?」
  • 「現在のランウェイは何ヶ月程度でしょうか?」
  • 「次の資金調達の計画はありますか?」

これらの質問により、企業の財務的な安定性や成長計画を確認できます。また、SaaS企業の場合、特にARR(Annual Recurring Revenue、年間経常収益)などの成長指標に対する達成状況を確認することも、将来性を判断する上で役立ちます。

国内SaaSスタートアップの事例に学ぶバーンレートとランウェイの重要性

国内のSaaSスタートアップは、バーンレートやランウェイを適切に管理しながら事業を成長させてきました。多くの企業は、初期段階で大規模な資金調達を行い、事業拡大のために積極的に投資を行っています。これにより、一定期間のランウェイを確保しながら、顧客基盤の拡大や新機能の開発に注力しています。

成功している企業は、資金調達のタイミングを見計らい、ランウェイが切れる前に次の資金調達や収益化を目指す戦略を取っています。転職を検討する際には、こうした企業の成長モデルを参考にし、財務的に健全な企業かどうかを見極めることが重要です。

まとめ

バーンレートとランウェイは、スタートアップ企業の持続可能性や成長性を判断するための重要な指標です。特にSaaS企業では、収益化までに時間がかかることが多く、ランウェイの確保が企業の安定性を左右します。転職を検討する際には、資金調達の状況や今後のキャッシュフローについて確認し、内定後の面談でさらに詳細な財務状況を確認することで、自身の気持ちや役割を可視化することもできます。

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青山 俊彦

青山 俊彦カノープス株式会社 代表取締役

SaaSビズサイド(セールスやカスタマーサクセス、インサイドセールス、マーケ、企画領域)の転職支援が得意な人材エージェントです。採用や転職についてお気軽にご相談を!趣味は釣り。長野県安曇野市出身。

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