株式投資やスタートアップ業界、あるいはSaaS企業の資金調達に関心を持つ方であれば、「セカンダリー取引」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、具体的にどのような取引を指すのか、一次市場との違いを正確に説明できる方は意外と多くありません。
本記事では、セカンダリー取引の基本的な仕組みから一次市場との違い、近年注目される背景、そしてビジネスパーソンとして知っておくべき意味までを分かりやすく解説します。金融リテラシーを高めたい方や、SaaS業界でのキャリア形成を考えている方にとって、基礎知識として押さえておきたい内容です。
セカンダリー取引とは何か
セカンダリー取引とは、すでに発行されている株式や債券などの有価証券を、投資家同士が売買する取引のことです。日本語では「流通市場での取引」とも呼ばれます。
例えば、企業が新たに株式を発行して投資家に販売するのは一次市場の取引ですが、その後、その株式を保有する投資家が別の投資家に売却する場合は、セカンダリー取引に該当します。
株式市場で日常的に行われている売買の大半は、このセカンダリー取引です。東京証券取引所を通じて行われる取引も、基本的にはすべてセカンダリー市場での取引だと理解すると分かりやすいでしょう。
この取引の特徴は、売買によって企業自体に新たな資金が直接入るわけではない点です。一方で、流動性を高め、市場価格を形成する重要な役割を担っています。
一次市場との違いを整理する
セカンダリー取引を理解するうえで欠かせないのが、一次市場との違いです。
一次市場とは、企業や国などの発行体が新たに株式や債券を発行し、投資家に直接販売する市場を指します。株式でいえば、新規株式公開(IPO)や公募増資などが代表例です。
一方、セカンダリー市場では、すでに発行された証券が投資家間で売買されます。企業は直接関与せず、市場参加者の需給によって価格が決まります。
この二つの市場は役割が異なりますが、相互に密接な関係があります。一次市場で調達された資金が企業の成長を支え、その企業価値がセカンダリー市場での株価に反映される、という循環が成り立っているのです。
ビジネスパーソンとしては、
・資金調達の場が一次市場
・価値評価と流動性の場がセカンダリー市場
と整理すると理解しやすいでしょう。
セカンダリー取引の代表的な例
セカンダリー取引の最も身近な例は、証券取引所での株式売買です。日本では、東京証券取引所を中心に、多くの企業の株式が日々取引されています。
また、上場株式だけでなく、未上場株式のセカンダリー取引も存在します。スタートアップの初期投資家や従業員が保有する株式を、後続の投資家が購入するケースなどが該当します。近年では、未上場株の流動性を高めるための取引プラットフォームも登場し、注目を集めています。
さらに、債券市場も典型的なセカンダリー市場です。国債や社債は発行後、投資家間で売買され、その価格変動が金利や信用力の指標として活用されます。
このように、セカンダリー取引は金融市場のあらゆる場面で行われており、経済活動の基盤を支える存在だといえます。
なぜセカンダリー取引が重要なのか

セカンダリー取引が重要視される理由の一つは、流動性の提供です。投資家が「いつでも売却できる」と感じられるからこそ、安心して一次市場での投資が行われます。もしセカンダリー市場が存在しなければ、資金は極端に集まりにくくなるでしょう。
また、セカンダリー市場は企業価値を測る指標としても機能します。株価は、将来の成長性や収益性、リスクなどを織り込んだ結果として形成されます。そのため、経営陣や投資家だけでなく、転職を考えるビジネスパーソンにとっても重要な判断材料となります。
SaaS業界では、上場後の株価推移や未上場段階でのセカンダリー評価が、企業の成長ストーリーを示すシグナルとして注目されるケースも増えています。
ビジネスパーソンが知っておくべきセカンダリー取引の視点
金融の専門家でなくても、セカンダリー取引の考え方を理解しておくことはキャリア形成に役立ちます。
例えば、上場企業への転職を考える際、株価の推移や時価総額を見ることで、市場がその企業をどのように評価しているのかを把握できます。
また、スタートアップへの転職では、将来的なIPOやセカンダリーでの株式売却可能性が、報酬設計やリスク判断に影響します。
特にSaaS企業では、成長フェーズによって市場からの評価が大きく変わります。セカンダリー取引を通じた評価の視点を持つことで、企業選びをより立体的に行えるようになるでしょう。
単なる投資知識としてではなく、「市場は企業をどう見ているのか」という視点で理解することが重要です。
まとめ
本記事では、セカンダリー取引の基本的な定義から、一次市場との違い、具体例、そして重要性について解説しました。
セカンダリー取引は、投資家同士が既存の証券を売買する市場であり、流動性の確保や企業価値の評価に欠かせない存在です。
SaaS業界でキャリアを築くうえでも、市場評価の仕組みを理解しておくことは大きな武器になります。金融用語として知るだけでなく、ビジネス視点で捉えることが重要だといえるでしょう。