
はじめてリーダーになるとき、多くの方が「どんなリーダーであるべきか」に悩みます。指示を出すべきか、メンバーの意見を重視すべきか、その答えは一つではありません。本記事では、初めてマネジメントやチームリーダーを担う方に向けて、代表的な5つのリーダーシップスタイルを解説します。それぞれの特性や適した場面を理解することで、自分に合ったリーダー像を見つけるヒントになるはずです。
コーチ型リーダーシップ:育成重視で人を伸ばす
コーチ型リーダーは、部下の成長に注力するスタイルです。短期的な業績よりも、中長期的に自立した人材を育てることを重視します。フィードバックを通じて自己理解を促し、成長のきっかけを提供する姿勢が特徴です。
このスタイルの魅力は、メンバーが自ら考え、成長する習慣が身につく点です。特に若手や経験の浅いメンバーが多いチームでは、コーチ型アプローチによって組織全体の底上げが期待できます。
ただし、成果が出るまでに時間がかかるため、短期成果を重視する現場には不向きなこともあります。リーダー自身に「人を育てる」意識とスキルが求められる点も留意が必要です。
民主型リーダーシップ:共創でチームをまとめる
民主型リーダーは、チームメンバーとの対話や意見の共有を大切にします。重要な決定は上からの一方通行ではなく、メンバー全体で合意を得ながら進めていくスタイルです。
このアプローチは、メンバーの主体性や当事者意識を引き出すのに適しています。意見が通ることで満足感が高まり、チーム全体のエンゲージメントも向上しやすくなります。
注意点として、意思決定に時間がかかる傾向があります。また、意見を出すことに慣れていないチームでは、一部の人だけが話し合いを進めてしまう恐れも。全員の意見を尊重しつつ、最終判断をどう下すかがリーダーの手腕です。
サーバント型リーダーシップ:支援を通じて信頼を築く

サーバント型リーダーは、メンバーの成長や幸福を第一に考える「奉仕型」のリーダーです。傾聴、共感、支援を大切にしながら、チームの基盤を築いていきます。
このスタイルの強みは、心理的安全性の高い職場環境を作れることです。リーダーが支えてくれるという安心感が、チーム全体の信頼関係を深めます。また、長期的な定着率や満足度の向上にもつながります。
一方で、強い方向性が求められる場面では優しさだけでは舵取りが難しいこともあります。リーダーとして自分の立ち位置と責任を理解し、状況に応じたバランス感覚が求められます。
変革型リーダーシップ:変化を牽引する推進力
変革型リーダーは、チームを鼓舞し、大きな目標に向かって推進していくリーダーです。明確なビジョンを掲げ、メンバーのやる気や創造力を引き出すことに長けています。
このスタイルは、新規プロジェクトの立ち上げや業務改善など、変化が求められる局面で真価を発揮します。特に成長企業やスタートアップでは、強い牽引力を持つ変革型リーダーが求められるケースが多く見られます。
ただし、理想だけを語って実行が伴わないと、現場がついてこなくなるリスクがあります。メンバーの理解や共感を得られないと、独りよがりな印象を与えてしまうことも。熱意だけでなく、現場との信頼構築も意識しましょう。
命令型リーダーシップ:明確な指示で組織を動かす
命令型リーダーは、トップダウンで明確な指示を出し、迅速に意思決定を行うスタイルです。混乱を避け、組織を効率的に動かすことが目的です。
初めてリーダーになる場合、まずはこのスタイルで「責任を持って指示を出す」ことを意識するのも有効です。特に緊急対応やトラブル時など、即時の判断が求められる場面では非常に効果的です。
しかし、常にこのスタイルだけを用いると、メンバーの不満や受け身姿勢を助長する可能性があります。時には対話を重視するなど、状況に応じてスタイルを柔軟に切り替える姿勢が、信頼構築とチーム力の向上につながります。
まとめ
リーダーシップにはさまざまなスタイルがあり、絶対的な正解はありません。今回ご紹介した「コーチ型」「民主型」「サーバント型」「変革型」「命令型」は、それぞれに適した場面と特性があります。
重要なのは、自分自身の強みや価値観、チームの状態に合わせてスタイルを使い分けることです。リーダーとしての第一歩を踏み出す際に、自分らしいリーダー像を見つけるための参考になれば幸いです。
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