SaaS企業の業績を左右する顧客獲得の先鋒ポジションであるマーケティング担当の採用は各社にとって重要な関心ごとです。本記事では、オンラインマーケティングとデジタルマーケティングの両面から、SaaS業界のマーケティング担当が職務経歴書に盛り込むべき具体的な要素と書き方のポイントを解説します。定量的な実績と定性的な成果をバランスよく盛り込み、採用担当者の関心を引く職務経歴書を作成しましょう。
職務経歴書に盛り込むべき5つのカテゴリー
マーケティング担当の職務経歴書を効果的に作成するためには、内容を5つのカテゴリーに分けると整理しやすくなります。
- 【業務内容】
箇条書きで具体的なタスクを列挙し、スキルと実績が視覚的にわかりやすくなります。 - 【担当サービス】
担当していたSaaSプロダクトの概要を記載し、自分がどのような製品に精通しているかを伝えます。 - 【ターゲット顧客】
担当していた顧客層(業界、企業規模など)を具体的に示し、専門性やアプローチしてきた顧客レベルをアピールします。 - 【実績】
達成した成果を数値で示し、特にKPIを用いてあなたの成果を視覚的に伝えます。 - 【ポイント】
マーケティング活動での具体的な成功エピソードや、プロジェクトで果たした役割を詳細に記載し、あなたの強みを裏付ける具体的な証拠として活用します。
こうした構成にすることで、選考担当者があなたの職務経歴書を読みやすく、理解しやすくなります。
【業務内容】はポイントを押さえて箇条書きで
【業務内容】は長々と書くよりも、自身の行ってきた業務をいくつかのカテゴリーに分けて箇条書きすると、選考担当も読みやすくスキルセットを把握しやすくなります。例えば、オンラインとオフラインのマーケティング活動を担当しつつ、チームのマネージャーとしてメンバーをマネジメントしていた方であれば、以下のように記載できます。
◎オンライン/デジタルマーケティング
・SEO/SEM戦略の立案と実行
・コンテンツマーケティング(ブログ、ホワイトペーパーの制作と配信)
・ソーシャルメディアマーケティング(LinkedInやTwitterなどの運用)
・マーケティングオートメーションツールの導入と活用
・リードジェネレーションキャンペーンの設計と実行
◎オフラインマーケティング
・カンファレンスや展示会でのプロモーション活動
・オフラインイベント(セミナー、ワークショップ)の企画と実施
・企業向けのダイレクトメールキャンペーンの展開
・コーポレートイベントでのブランド露出とリード獲得戦略
◎メンバーマネジメント(メンバー5名)
・目標設定/進捗管理
・1on1による個別サポート
・半期に一度の評価
◎その他
・新規プロダクトのGTM戦略実行
・業務設計及び改善(フロー構築・改善など)
・他部門との業務連携(IS組織、FS組織、CS組織、開発組織)
業務内容をこのように箇条書きで具体的に記載することで、あなたのスキルセットと担当業務が明確になり、選考担当者に強い印象を与えます。
【担当サービス】【ターゲット顧客】の記載方法
【担当サービス】も相手に自身の仕事内容を伝えるにあたって重要な要素です。複数のプロダクトを扱っているベンダーに所属していた場合、担当サービス名の記載がないと選考担当はどのサービスを担当していたのか調べたり、予測する手間が必要になるため、軽微なストレスがかかります。
また、【ターゲット顧客】も重要です。これまでアプローチしてきた顧客層や規模、業界、ターゲットとしていた担当者が誰なのかは相手も知りたがる情報です。例えば、以下のように記載するとよいでしょう。
【担当サービス】
顧客管理システム「●●●●●●」、MAツール「●●●●●●」
【ターゲット顧客】
XXXXXXやXXXXXXXなどの従業員数:500名以上の中堅〜大手企業
主な対象業界:アパレル、コスメ、一般消費財メーカー等
主な商談相手:経営層、情報システム室、営業部門、マーケティング部門
このように具体的に記載することで、あなたがどのようなサービスや市場を対象にしてきたかが採用担当者に伝わりやすくなります。
【実績】は定量的なデータで具体的に
マーケティング担当の職務経歴書で特に重要なのは【実績】です。自分が達成した成果を具体的な数値で示すことで選考担当に効果的にアピールすることができます。例えば、以下のようなイメージです。
【実績】
◎デジタルマーケティング
2022年9月〜2022年12月:SEO戦略により、主要キーワードの検索順位を15位上昇させ、プロダクトページのオーガニックトラフィックを前年比150%増加
2022年4月〜2023年8月:コンテンツマーケティングの改善により、ブログの月間PV数を10万から30万に増加(前年比300%)
2022年12月〜2023年8月:デジタル広告のROIを50%改善し、広告費用対効果を大幅に向上
◎オフラインマーケティング
2022年7月 〇〇EXPOにて目標対比 388%の商談機会創出を実現(実績70件/目標18件)
2023年4月 〇〇EXPOにて目標対比 171%の商談機会創出を実現(実績24件/目標14件)
具体的な数字を示すことで、採用担当者に対してあなたの実績のインパクトを強調することができます。
【ポイント】で差をつける、具体的事例の記載方法
最後に【ポイント】として、定量的な成果だけでなく、特筆すべき課題解決や独自の取り組みをアピールします。SaaS業界ならではの具体的な事例を挙げることで、あなたの専門性や独創性を強調できます。
◎新規サービスローンチでのGo-to-Market戦略
新規SaaSプロダクト「●●●」のローンチ時に、ターゲット顧客のペルソナ設定を行い、包括的なGo-to-Market戦略を実行。3ヶ月で目標顧客数の120%を達成し、業界メディアでも高評価を得た。
◎ABM施策で大型案件を獲得
特定企業をターゲットとしたABM(アカウントベースドマーケティング)施策を実行。カスタマイズされたコンテンツと広告を展開し、年間契約額1,000万円を超える案件を複数獲得。
◎イベントマーケティングによるブランディングとリード獲得
業界最大級のカンファレンスでの出展を企画し、ブランド露出を大幅に向上。さらに、出展イベントで得たリードから新規商談を前年比150%増加させた。
このような具体的なエピソードを記載することで、数字だけでは伝わらないあなたの能力を効果的にアピールできます。
まとめ:完成イメージ
SaaS業界マーケティング担当の職務経歴書作成において重要なのは、具体性と数値化です。【業務内容】【担当サービス】【ターゲット顧客】【実績】【ポイント】の5つのカテゴリーを軸に、あなたのスキルや実績を詳細にかつ効果的に伝えましょう。
特に、実績は定量的な数値を用いて具体的に示し、さらに【ポイント】ではSaaS業界に特化した独自の事例を盛り込むことで、採用担当者に強いインパクトを与えることができます。しっかりと構成された職務経歴書は、あなたのスキルセットを明確にし、キャリアアップや転職活動において大きな武器となるでしょう。
合わせて読みたい
効果的な職務経歴書の作り方:カスタマーサクセス編