転職したい!と思った時にまず整理してほしいのが、「転職軸」です。転職軸とはご自身の会社選びの基準です。実際の面接シーンでも面接官に「転職の軸は?」「会社選びで大事にしていることは?」といった質問をされることは多いです。こんな時、曖昧な回答をすると「転職に目的を持った方ではないのではないか?」とマイナス評価をされることもあります。転職軸は自身の未来にとっても大事な要素。この記事では、転職を考える際に押さえておきたい5つの要素—「仕事内容」「キャリアパス」「給与」「労働環境」「企業文化」—について解説します。これらの視点をもとに自己分析を行うことで、より納得のいく転職活動を実現していただければと思います。
軸1:仕事内容(Job)
定義と重要性
仕事内容は、転職先を選ぶ上で最も直感的かつ基本的な要素です。自分が次のキャリアで「何をするのか?」が決まっていなければ、どんな環境でも満足できない可能性が高いです。理想の仕事を具体的にイメージし、それがあなたのスキルや興味にどれだけマッチしているかを検討することが必要です。
例えば、SaaS業界でも、営業からマーケティング、プロダクトマネジメントまで多様な職種がありますが、ご自身がこれまでに積み上げたキャリアを活かせる職種は何か?将来やってみたいことに接点が多い職種は何か?理想が先行しすぎないよう、自身が貢献できる可能性が高い仕事内容を選ぶことをお勧めします。
自己分析のための質問
- ・今の仕事で楽しいと感じる業務は何?
- ・今まで一番成果を出せたのはどんな場面?
- ・環境が変わっても貢献できそうな経験やスキルは何か?
軸2:キャリアパス(Career Path)
定義と重要性
Jobが現在地だとするとキャリアパスは未来です。「将来こうなりたい」「こういった仕事をできるようになりたい」という理想の姿を明確することで、会社選びはより明確になります。短期的なメリットに目を奪われず、数年後にどう成長していたいかを見据えて自身を整理しましょう。
例えば、将来はマネジメントをしたいという理想がある場合、その理想を目指す理由やそのために必要なステップや経験が何なのかをご自身なりに整理しておく必要があります。単に「年長者になったらマネジメントをやるべきなんだろうな」程度で考えていると面接官に考えが浅いと評価されるケースもあります。逆に将来の理想とその理由、そのために自身に足りない経験を言語化しておくと、選考を受けている企業がそれに叶う環境なのかわかるだけでなく、面接官とも対応に渡り合えます。
自己分析のための質問
- ・5年後、10年後どんな生き方をしていたい?そのために必要な経験や環境は何?
- ・現在の環境でそれは実現できる?できるとしたらそれはいつまでに叶う?
- ・上司や同僚に自分の理想のキャリアを実現している人はいる?
軸3:給与(Salary)
定義と重要性
給与は自身や家族の生活を豊かにするだけでなく、自身に対する評価でもあります。が、案外自身の理想の給与やその理由、将来欲しい給与を明言できない方も多いです。まずは自身の今の給与の内訳を理解し(手取りと額面の差も曖昧な方もいます)、一般的な市場相場との差、転職時に評価してもらいたい給与額と数年度に実現したい給与額などを明確にしましょう(例:今回の転職では年総額50万アップが目標。ただし生活環境が変わりそうな5年後は今から300万アップしたい。それが実現できる環境を選びたいなど)。
また、現職の給与基準や体系は他の会社と同じわけではありません。年俸制、月給+賞与、成果報酬額比重が多いなど会社によって異なりますので、月額ベースでの希望給与や年額での希望給与も整理しておきましょう。
自己分析のための質問
- ・同世代・同業界・同職種の方の給与と自分の給与の差は?
- ・3年後、5年後どんな生活をしていたい?
- ・今の給与で挑戦したくてもできないことはどんなこと?
軸4:労働環境(Work Environment)
定義と重要性
労働環境は、物理的なオフィス環境だけでなく、働き方の選択肢の多さやそれを裏付ける制度など案外幅広い要素です。自分が働きやすい環境は、長期的な働きやすさに直結しますのでしっかり言語化しましょう。
例えば、リモートワークは週何回できるのか?フレックスタイム制度は導入しているのか?短時間勤務は可能か?自身と同じような境遇の人が働いているのか?など。現在の環境と比べて言語化してみましょう。
自己分析のための質問
- ・自分が力を発揮できる労働環境は?理想のリモートワーク、オフィスワークバランスは?
- ・今の会社の上司や先輩は自身の理想の勤務形態を実現できているか?
- ・将来自身にはどんな生活環境の変化がありそうか?
軸5:企業文化(Culture)
定義と重要性
企業文化は、その企業が持つ独自の価値観や行動規範のことです。どれだけ良い条件が整った職場でも、企業文化が自分の性格や価値観に合わなければ、働きにくさを感じる可能性があります。
例えば、スタートアップでは、スピード感やチャレンジ精神を持った人材が求められるケースが多いですが、メガベンダーなど大手ではそれらの要素に加えて組織で決めた規律ある行動を求められるケースこともあります。目指す正解感も共感できないと長期的な活躍は難しくなります。自分が求める働き方や価値観と、企業の文化や方向性がどれだけ合致しているかを確認することは、転職後の満足度に大きな影響を与えます。
自己分析のための質問
- ・いまの会社のミッションやビジョンのどんなところに共感していた?
- ・今の自分の価値観と企業文化は合っている?
- ・上司や同僚とのコミュニケーションで好きなとこと、嫌なところは?
まとめ
良い転職先を決めるには本当に多くの決断をする必要があります。そんな時自分に立ち返る転職軸を用意しておくことは大切です。まずは「仕事内容」「キャリアパス」「給与」「労働環境」「企業文化」という5つの軸を用意し、自分に合った理想の会社を見つけていきましょう。