この記事では、SaaSの中でも、ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSの違いについて解説します。それぞれのモデルがどのような特性を持ち、どのようなスキルが求められるのかを具体的な例を交えて説明します。SaaS業界でのキャリアアップを目指す方にとって、どのようなスキルが歓迎されるのかを理解することは非常に重要です。
ホリゾンタルSaaSとは
ホリゾンタルSaaSは、特定の業界に限定されず、さまざまな業界に対応できる汎用的なソフトウェアサービスを指します。たとえば、SlackやSalesforce、Zoomなどが代表的なホリゾンタルSaaSです。これらのサービスは、企業の規模や業種にかかわらず、多くのビジネスにおいて利用されています。主な目的は、業務の効率化やコミュニケーションの円滑化、顧客関係の管理など、一般的なビジネスニーズを満たすことです。ホリゾンタルSaaSの特性として、マーケットが広く、広範なニーズがあるため、参入企業も多い傾向があります。したがって、市場での競争が激しく、新しい機能や革新的なソリューションの提供が求められるのが特徴です。
バーティカルSaaSとは
バーティカルSaaSは、特定の業界や市場に特化したソフトウェアサービスです。医療、教育、金融、不動産など、特定の業界のニーズに応えることを目的としています。たとえば、医療業界向けの電子カルテシステムや、保険業界向けのリスク管理ソフトウェアなどがバーティカルSaaSの一例です。バーティカルSaaSは、特定の業界に深く根ざした機能を提供するため、高い専門性が求められる分、競争も少なくなる傾向もあります。競争相手が少ない分、一度獲得するとユーザーは自社サービスに依存しやすく、長期的な契約が結ばれることが多いようです。
ホリゾンタルとバーティカルに必要なスキルの比較
ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaSでは、それぞれに有効なスキルセットがあります。これらの違いを理解することで、自分のキャリアに合った会社選びをすることも可能です。以下、両者の違いを具体的な例を交えて解説します。
1. コミュニケーション能力と業界知識
ホリゾンタルSaaSでは、多種多様な業界のクライアントと関わるため、幅広い業界に対応できる柔軟性やコミュニケーション能力が重要です。たとえば、Slackでしたら導入する企業はITから教育、製造業まで多岐にわたります。このように、顧客ごとに異なる事業背景やニーズを理解し、それに応じた説明ができる能力が求められます。
一方、バーティカルSaaSは特定の業界に特化しているため、その業界の専門知識が有効になります。例えば、医療業界向けのSaaS製品を扱う場合、医療規制や患者データの管理基準について深い理解はサービス提供にプラスとなります。
2. マーケティングスキルとカスタマーサクセススキル
ホリゾンタルSaaSでは、多くの競合が存在するため、自社製品を効果的にアピールするためのマーケティングの力が必要です。たとえば、Zoomが競合のビデオ会議ソリューションと異なる点を強調し、ユーザビリティや安定性をアピールすることで市場を獲得したように、マーケットの分析力や差別化などのマーケティングスキルは重要です。
バーティカルSaaSの場合、業界に特化したソリューション故、より高度なカスタマーサクセススキルが重要となります。例えば、農業向けSaaSであれば、農業の季節性や天候による影響を考慮した業界特有の課題を考慮したサポートが求められます。顧客の課題に憑依できるほどのハイタッチサクセスが顧客満足度の向上や利用継続につながります。
まとめ
ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaS、それぞれに有効なスキルセットがあることを理解すると会社選びがしやすくなります。ホリゾンタルSaaSでは、多様な業界のニーズに対応するためのコミュニケーション能力、そして競争を勝ち抜くためのマーケティングスキルが求められます。一方、バーティカルSaaSでは、特定の業界に対する深い理解とそれを活かした顧客との長期的な関係を築くカスタマーサクセススキルが重要です。両者の特性を理解することで自分の強みを活かした企業選びやスキル磨きができ、SaaS業界でのキャリアアップを実現することができます。
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